研究課題/領域番号 |
23530935
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
土井 晶子 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (10465677)
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研究分担者 |
本山 智敬 福岡大学, 人文学部, 講師 (10551434)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | フォーカシング / グループ・アプローチ / 対人援助 / メンタルヘルス / エンパワメント |
研究概要 |
(独)大阪産業保健推進センターおよび産業衛生学会近畿地方会の協力を得て、対人援助職(保健師、看護師、臨床心理士、衛生管理者等)のメンタルヘルス課題を同定するための質問紙調査を実施した。回答者は関西圏企業・団体所属の産業保健スタッフ343名(男性65名、女性278名)で、平均年齢は 44.27歳(SD=9.851) 、産業保健スタッフとしての勤務年数は平均11.10年(SD=8.931) であった。回答者の職種は看護師・保健師が244名(71.1%)と最多であった。なお、53%に相当する121名が「ひとり職場」勤務であった。調査の結果から、「フォーカシング的態度」を身につけている産業保健スタッフは、高い職場満足度、 より効果的なコーピング方略 、低いストレス度・バーンアウト度 、高いソーシャルサポートの自覚を示すことが判明し、フォーカシングが対人援助職支援に有効であることが示された。 これらの結果をもとに、(独)大阪産業保健推進センターの協力を得て、フォーカシングをべースにした支援プログラムおよびサポート・グループを実施した。2011年度はフォーカシング中心のプログラムを8回、サポート・グループを3回実施した。毎回参加者が異なるため、厳密な結果の検討は困難であるが、全体として参加者の満足度は高かった。特に、ほとんどの参加者が「ひとり職場」勤務であるため、本プログラムおよびサポート・グループは、貴重な「情報交換の場」として機能し、孤立無援感の軽減に役立ったことが、実施後アンケートの自由記述結果より示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対人援助職を対象としたメンタルヘルス予備調査の実施および結果の分析は予定通り進めることができ、本研究の意義を裏付ける結果が得られている。また、フォーカシングを活用したセルフケア研修およびサポート・グループの実施についても、(独)大阪産業保健推進センターの協力により、予定通り進展している。ファシリテーター・トレーニングに関する予備調査の分析については、質的データの収集・整理を行ったが、参加者へのインタビューについては、現在、インタビュー内容の構成を検討し、研究協力者と交渉中である。
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今後の研究の推進方策 |
(独)大阪産業保健推進センターの協力を得て、対人援助職のメンタルヘルス支援のためのプログラムをより洗練されたものとして完成させていくとともに、「マイナスを少なくする」というストレスマネジメントだけでなく、「より元気になる」という、well-beingの増進に向けた支援の方略を検討する。 また、新たな方向性として、対人援助職のバーンアウト防止およびエンパワメントのための方略を検討する。どうすればより生き生きと働くことができるか、という対人援助職の働き方の要因を検討し、また職域活性化のためのチームビルディング、リーダーシップ開発などの手法についても検討し、包括的なプログラムの作成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの成果を国内外に向けて発信し、フィードバックを得るために行う国内(名古屋、宇部)および国際学会(PCE2012:ベルギー、アントワープ)での共同発表にための旅費および当該学会参加費、調査結果の分析にあたって、データ入力・分析アルバイトへの謝金、専門的助言を受けるための謝金、研究遂行のために必要な知識およびトレーニングを受けるための研修会・ワークショップへの参加費および旅費、その他書籍購入費・消耗品費が必要である。
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