研究課題/領域番号 |
23530935
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
土井 晶子 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (10465677)
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研究分担者 |
本山 智敬 福岡大学, 人文学部, 講師 (10551434)
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キーワード | フォーカシング / グループ・アプローチ / 対人援助職支援 |
研究概要 |
対人援助職のメンタルヘルスとフォーカシング的態度の関連について、対象を介護職まで拡大してさらに拡大調査を行った。結果は現在分析中であるが、アンケートの自由記述からは「ひとり職場」をめぐる問題や課題、またメンタルヘルス対策が対人援助職に丸投げされてしまっていることに対する困惑の声が多く見られた。対人援助職のセルフケア研修については、(独)大阪産業保健推進センターの協力を得て、本年度も10回実施することができた。研修プログラムの内容は、前年度の研修後アンケートの結果を踏まえて整理し、より互いの問題や不安を分かち合い、情報を交換できるようシェアリングの時間を増やした。また研修終了後に個別の相談にも対応するなど、柔軟な研修の運営を心がけるようにした。 このようなプログラムを一般に普及させるためには「マニュアル」や「手順書」を作成し、公表・配布するケースが多いが、実際には「何をどのように実施するか」というハウツーよりも、講師やファシリテーターが「どのように参加者と共にあるか」、「具体的にどのような配慮を行い、それをどのように伝えるか」が重要である。多くのプログラム・研修が「マニュアル」というかたちでしか広まらず、その弊害として「やらされ感」が残ってしまい、期待した効果が得られない現状がある。そこで本年度は、パーソン・センタード・アプローチを基盤とする申請者らが、研修プログラム実施の際に、「どこに注意を向け、どのような動きをしているか」という、これまでマニュアル化されてこなかったエッセンスを具体的に言語化し、それをプログラムの精緻化に組み込んだ。フォーカシングとグループ・アプローチという「集団」と「個人」の双方に同時に関わることの意義を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セルフケアプログラムの精緻化については、当初の予定に加え、パーソン・センタード・アプローチの視点からプログラム実施のエッセンスを抽出するという新しい視点が加わり、研究をさらにふくらませることができたが、予定していたファシリテーター・トレーニングの実施が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
対人援助職の課題を同定するために、介護職も含めた調査の結果分析を行う。また、調査および研修後アンケートの自由記述の分析を行い、研修に求められるものおよびこれまでの研修における課題を明確化する。さらにファシリテーター・トレーニングを実施し、参加者へのインタビュー調査からトレーニングの特徴の理論化を進める。並行して、パーソン・センタード・アプローチの視座から、これまで個人の工夫にゆだねられてきた研修時の配慮や具体的な動き方や注意点を特定し、研修におけるパーソン・センタード・アプローチの意義と有用性をあきらかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、セルフケア研修にエンパワメントの要素を取り入れるため、国際ポジティブ心理学会(ロスアンジェルスで開催)に参加し、諸外国の研究者と交流し、情報を交換するための海外旅費、また国内学会にてこれまでの成果を公表するための学会発表旅費、調査の分析のための謝金、調査参加者への謝金が必要である。
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