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2011 年度 実施状況報告書

思考に対する外国語の妨害作用

研究課題

研究課題/領域番号 23530949
研究機関東京大学

研究代表者

高野 陽太郎  東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20197122)

研究分担者 森島 泰則  国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (20365521)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード外国語副作用 / 第二言語 / 母語 / 注意 / 二重課題 / 思考
研究概要

母語に比べて習熟度の低い外国語を使用している際には、一時的に思考力が低下する。これを外国語副作用という。この外国語副作用が言語処理の統語解析過程で生じるか否かを検討した。 被験者は、日本語を母語とする大学生29名であり、母語(日本語)または外国語(英語)で聴覚的に提示される文に文法的な誤りがあるか否かを判断する統語解析課題と、知能検査の図形問題から成る思考課題を同時に行なった。提示された文に標的音素が含まれているか否かを判断する音素解析課題と思考課題を同時に行なう条件も設定した。 統語解析課題では、母語条件より外国語条件の方が成績が有意に低く、外国語の統語解析が困難であるという前提条件は満たされていることが確認された。思考課題では、やはり外国語条件の方が成績が有意に低く、外国語副作用が生じていたことが明らかになった。 音素解析課題では、母語条件より外国語条件の方が成績が有意に高く、思考課題でも、外国語条件の方が成績が有意に高かった。これは、母語条件の標的 /m/ と /g/ の方が外国語条件の標的 /k/ と /t/ より検出が困難であったためではないかと考えられる。 音素解析では外国語副作用が生じなかったことを考慮すると、統語解析課題で生じた外国語副作用は、統語解析に含まれる音素解析過程ではなく、統語解析過程で生じた可能性が高いと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

統語解析過程で外国語副作用が生じるか否かを調べることを目的として実験を行い、外国語副作用が生じることを強く示唆する結果が得られた。

今後の研究の推進方策

音素解析課題では、日本語と英語で別の標的音素を設定したが、同じ標的音素を設定した実験を行なう必要がある。 また、文の聴覚的入力から統語解析に至るまでの過程には、音素解析だけではなく、単語同定の過程も含まれる。単語同定の過程における外国語副作用を統制したとき、統語解析過程のみにおいて外国語副作用が生じるか否かを検討する必要がある。

次年度の研究費の使用計画

日本語と英語において、同じ標的音素を使用することができるようにするためには、文を新たに作成し直さなくてはならない。また、単語同定課題のための文も作成しなければならない。そのために、英語の母語話者の録音および校閲が必要になり、その謝金が主な支出になると考えられる。

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公開日: 2013-07-10  

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