研究課題/領域番号 |
23530951
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 光太郎 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40179205)
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キーワード | モリヌー問題 / 空間知覚 |
研究概要 |
本研究は、実験心理学における空間知覚の諸問題の歴史をたどり、17・18世紀の哲学者(イギリス経験主義哲学、フランス啓蒙主義哲学)が措定した問題に19・20・21世紀の実験心理学者がどう答えたのか(あるいはどう答えているのか)を明確にして、ヨーロッパの近世哲学と実験心理学の歴史的な繋がりを明らかにすることを目的とする。とくに、「モリヌー問題」と「倒立網膜像問題」について、その後実験心理学者が哲学者の行なった考察を受けて、なすべき実験をどのように組み立て、論証を進めたのかを、歴史資料と最新の実験心理学的知見をもとに明らかにする。 平成23年度には、ウィリアム・モリヌー、ジョン・ロックとジョージ・バークリーの資料について調査を行ない、「モリヌー問題」と「倒立網膜像問題」が哲学的問題として措定されるまでの経緯をある程度明らかにできた。 平成24年度の調査では、「モリヌー問題」について、ドニ・ディドロがその著『盲人書簡』においてどのような理論的・実践的検討を行ない、その検討が当時のどのような観察や研究にもとづいていたのかを明らかにすることに主眼をおいた。その結果、ディドロが当時の著名な眼科医数人と懇意であったことや、自らもその手術や術後の検査に立ち会ったことなどが明らかになった。彼の『盲人書簡』は、そうした実証的な裏付けをもっており、哲学的でありながら、きわめて実験心理学的な側面を備えていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は、開眼手術者の空間知覚の問題を詳述したディドロの資料調査を予定通り行なうことができた。開眼手術者の術後の空間知覚の事例をまとめたゼンデンの資料調査も予定していたが、日程の調整がつかず、調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
開眼手術者の術後の空間知覚の事例をまとめたゼンデンの資料調査を行なう。また、「倒立網膜像問題」を解くために最初に逆さめがねの実験を行なったストラットンについても、哲学的考察との関係に着目して資料調査を行なう。以上の結果をもとに、「モリヌー問題」と「倒立網膜像問題」について、哲学者によるさまざまな考察を受けて、心理学者がどのように実験を組み立て、論証を進めたのかを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、「モリヌー問題」と「倒立網膜像問題」について、心理学者に関わる部分の調査を行なう。具体的には、ゼンデンとストラットンについての調査(ゼンデンの在職したキール大学、ストラットンが逆さめがねの実験を行なったライプツィヒ大学、それ以降の研究者が逆さめがねの実験を組織的に行なったインスブルック大学)で調査を行なう。このうち、24年度に調査を実施できなかったゼンデンの資料調査については、24年度未使用分の研究費をあてる。
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