本研究では、人間が外界の脅威となる情報に対する注意の優位性効果に注目し、特にどのような場合において脅威情報に対して注意が惹きつけられ得るのかについて検討を行った。本研究課題では中央課題の難易度を操作し、課題非関連刺激として、怒り、中立、笑顔の表情を周辺に呈示したところ、課題レベルの難易度が高くなる場合には、怒り表情が周辺に呈示されると妨害効果が高くなることが見いだされた。この結果は脅威情報は抑制が困難で意図とは独立に処理されうることを示す。また、脅威刺激処理に対する個人特性が及ぼす影響を検討したところ、不安を感じやすいという特性が高い場合、妨害効果がより高くなることも示された。
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