本研究では、記銘語から喚起される過去のエピソード属性の処理が記憶に及ぼす効果を検討した。参加者は、記銘語に関するエピソードを、時間的展望性、重要性、情動性もしくは社会的属性(他者が含まれるか否か)で評定し、その後、自由再生テストを受けた。その結果、上記の4つの属性の処理は、記憶を促進することが示された。また、情動性の処理の促進効果は、情動知能(EI)の水準によって規定尾されることが明らかになった。すなわち、EIの高い参加者は、各記銘語のエピソードから喚起される情動を効果的に利用でき、EIの低い参加者よりも、自由再生テストにおける分散効果や自己選択効果が大きかったのである。
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