女性の感情障害脆弱性の基盤となる神経内分泌機構の検討

2013 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 23530957
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 実験心理学
• 研究機関: 鹿児島大学
• 研究代表者: 富原 一哉 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00272146)
• 研究分担者: 小川 園子 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (50396610)
• 研究期間 (年度): 2011 – 2013
• キーワード: エストロゲン / 不安障害 / 情動 / 産後うつ / 受容体選択的アゴニスト / マウス / 性腺ホルモン / 多面的行動解析

研究概要

女性は男性の２倍程度抑うつや不安などの情動障害に罹患しやすく，その発症にはエストロゲンなどの性腺ホルモンが深く関与すると考えられている。我々は，妊娠期に相当する高用量のエストロゲンの長期慢性投与がメスマウスの情動行動を亢進させることを確認した。さらには，ERαアゴニスト投与も高用量エストロゲン投与と同様にメスマウスの不安様行動が増大するが，ERβアゴニストの長期慢性投与は，逆に不安を抑制することも明らかとなった。今回得られた知見は，「マタニティー・ブルー」や「産後うつ」などの女性特有の感情障害の神経内分泌メカニズムの解明に大きく貢献するものと考えられる。

研究成果

• [雑誌論文] Differential effects of site-specific knockdown of estrogen receptor α in the medial amygdala, medial preotic area, and ventromedial nucleus of the hypothalamus on the sexual and aggressive behavior of male mice (2013)
  • 著者名/発表者名: Sano, K., Tsuda, M.C., Musatov, S., Sakamoto, T., and Ogawa, S.
  • 雑誌名: European Journal of Neuroscience 巻: 37 ページ: 1308-1319
  • DOI: 10.1111/ejn.12131
  • 査読あり
• [雑誌論文] メスマウスの不安関連行動における長期エストロゲン投与の用量依存的効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 畑地温子・富原一哉
  • 雑誌名: 動物心理学研究 巻: 61(2) ページ: 155-167
  • DOI: 10.2502/janip.61.2.3
  • 査読あり
• [学会発表] エストロゲン受容体サブタイプ選択的活性化がメスマウスの情動行動に及ぼす効果 (2014)
  • 著者名/発表者名: 富原一哉・大川卓也
  • 学会等名: 日本行動神経内分泌研究会(JSBN)第4回関西支部勉強会
  • 発表場所: 京都橘大学(京都市)
  • 年月日: 2014-03-22
• [学会発表] 脳に働くホルモンと環境要因による社会行動の調節 (2014)
  • 著者名/発表者名: 小川園子
  • 学会等名: 第25回日本発達心理学会シンポジウム「社会行動の発達を司る脳の働き・ホルモンの働き:行動神経内分泌学研究の最前線」
  • 発表場所: 京都大学(京都市)
  • 年月日: 2014-03-21
  • 招待講演
• [学会発表] 女性ホルモンによる情動調節メカニズムの解明 −エストロゲン受容体サブタイプの機能的相違について− (2013)
  • 著者名/発表者名: 大川卓也・富原一哉
  • 学会等名: 九州心理学会第74回大会
  • 発表場所: 琉球大学(沖縄県中頭郡西原町)
  • 年月日: 2013-11-17
• [学会発表] 情動・社会行動の性差 (2013)
  • 著者名/発表者名: 小川園子
  • 学会等名: 第66回日本自律神経学会大会シンポジウム「ストレス応答と性差:動物実験からヒトまで」
  • 発表場所: 愛知県産業労働センター ウインクあいち(名古屋市)
  • 年月日: 2013-10-25
  • 招待講演
• [学会発表] メスマウスの情動調節におけるエストロゲン受容体-alpha の役割 (2013)
  • 著者名/発表者名: 大川卓也・富原一哉
  • 学会等名: 日本動物心理学会第73回大会
  • 発表場所: 筑波大学(つくば市)
  • 年月日: 2013-09-15
• [学会発表] 性腺ホルモンによるメスマウスの不安様行動調節 (2012)
  • 著者名/発表者名: 大川卓也・富原一哉
  • 学会等名: 九州心理学会第73回大会
  • 発表場所: 鹿児島大学(鹿児島市)
  • 年月日: 2012-11-10
• [学会発表] メスマウスの驚愕反応とprepulse inhibition に及ぼすエストロゲンの効果 (2012)
  • 著者名/発表者名: 富原一哉
  • 学会等名: 日本動物心理学会第72回大会
  • 発表場所: 関西学院大学(西宮市)
  • 年月日: 2012-05-12
• [学会発表] エストロゲンの双極的情動調節 (2011)
  • 著者名/発表者名: 富原一哉
  • 学会等名: 第17回「性と生殖」公開シンポジウム
  • 発表場所: 早稲田大学(東京都)
  • 年月日: 2011-12-04
  • 招待講演
• [学会発表] メスマウスの文脈的恐怖条件付けに対するエストロゲンの用量依存的効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 松本結,富原一哉
  • 学会等名: 日本動物心理学会第71回大会
  • 発表場所: 慶応義塾大学(東京都)
  • 年月日: 2011-09-09
• [学会発表] ステロイドホルモンと行動 (2011)
  • 著者名/発表者名: 小川園子
  • 学会等名: 日本動物心理学会第71回大会 ワークショップ「脳とホルモンの行動学」
  • 発表場所: 慶応義塾大学(東京都)
  • 年月日: 2011-09-08
• [学会発表] エストロゲンと情動 (2011)
  • 著者名/発表者名: 富原一哉
  • 学会等名: 日本動物心理学会第71回大会 ワークショップ「脳とホルモンの行動学」
  • 発表場所: 慶応義塾大学(東京都)
  • 年月日: 2011-09-08
• [学会発表] 摂食障害に伴う情動症状とエストロゲン (2011)
  • 著者名/発表者名: 富原一哉
  • 学会等名: 第15回日本摂食障害学会学術集会大会シンポジウム「摂食障害の病態研究の進歩」
  • 発表場所: 日城山観光ホテル(鹿児島市)
  • 年月日: 2011-09-03
  • 招待講演
• [図書] 雌の性を科学する斎藤徹編著 『性をめぐる生物学〜ネズミから学ぶ〜』 第3章 (2012)
  • 著者名/発表者名: 富原一哉
  • 総ページ数: 83-120
  • 出版者: アドスリー