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2012 年度 実施状況報告書

物体運動に内在する因果構造の知覚の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530961
研究機関青山学院大学

研究代表者

薬師神 玲子  青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (30302441)

キーワード実験系心理学 / 認知心理学 / 視覚 / 学習 / 運動視 / バイオロジカルモーション
研究概要

本研究は、これまで心理物理学的な視覚研究においてほぼ独立に検討されてきた、「その物体が何であるかの認知(物体認知)」と、「それに対してどのようにアプローチすれば良いか(把握すべき場所と方法等の認知)」という二つの問題をつなぐ可能性のひとつとして、物体運動、特にバイオロジカルモーションに内在する因果構造に着目し、この因果構造を人間がどのように捉え、また利用しているのかについて検討する。具体的方法としては、ベイジアン・ネットワークを利用して因果構造を内包する運動刺激を作成し、その運動のクリティカルポイント、軌跡、逸脱運動の検出についての実験的研究を行う。
2012年度の研究では、ヒトの腕に類似した、階層構造を持つ連結物体を想定し、その運動のクリティカルポイントの検出についての実験データの取得を行った。そしてその実験データと、1.要素運動は上記刺激と同じであるが階層構造を持たない運動刺激を用いた対応する課題の実験データ 2.階層モデルを使用したシミュレーション出力 3.階層構造を前提としない計算モデルによるシミュレーション出力 との比較を行った。その結果、人間が運動の階層構造抽出を比較的効率よく抽出して、運動理解に利用していることが示された。また、運動端点(腕の場合には指先に相当)の到達点の予測に階層構造を効率よく利用できるか否かについて検討するため、知覚実験および階層モデルを使用したシミュレーションを行い比較したところ、モデルの予測は良好であることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度実施予定の研究(クリティカルポイントの検出のノイズに対する頑健性の検討、および運動軌跡の予測
)については、概ね予定通りに進んでいると言って良い。ただし、平成23年度実施予定であった学習の影響の検討は、24年度予定の研究とは独立に検討が可能と考えた為、当初予定を遅延させ、かつ25年度予定の研究と同時に行う形に変更した。したがって、実験研究全体としての進捗状況はやや遅れていると判断した。
これに対して、モデルの構築については当初最終年度(25年度)にまとめて行う予定であったが、実験データ解釈上で必要となったため、24年度から着手している。したがって、この部分の研究については当初予定より少し進んでいると考えられる。
従って、研究全体として考えるならば、概ね順調に進展していると考えて良いと判断した。

今後の研究の推進方策

端点の軌跡について、階層モデルを使用しないモデルによる予測を導出し、これと階層モデルとの比較を行うことによって知覚システムの階層構造抽出の効率について検討を深める。そしてその結果と、クリティカルポイントの検出についての研究結果とを合わせて統合的なモデルを作成し、同一の階層構造の利用が処理の簡略化につながるかという点について検討を加える。
新たな実験としては、逸脱運動の検出(因果構造には則るが,出現確率の低い運動)とその学習を扱う実験を行う。そして、これまでの実験結果から導かれた統合モデルをこの新たな実験状況に適応し、その頑健性について検討を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

約80万円については、実験設備(設営ブースと実験機材の購入および設置費、これに係るケーブル等消耗品の購入)に用いる他、実験用および解析用プログラミングソフトウェアのサポート代として約10万円、 研究に係る資料代および論文作成にかかる費用(英文校閲代等)として約10万円を予定している。 実験補助およびデータ解析に係る2名の実験協力者の雇用(各4ヶ月)および各実験参加者に対する謝礼として、合わせて約50万円 を使用する予定である。 また、本年度は国際学会等で2回の研究発表を予定しており,旅費として約50万円を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Detection of focal points of hierarchical motion using point-light display

    • 著者名/発表者名
      Yakushijin, R. & Ueda, S.
    • 学会等名
      Asia-Pacific Conference on Vision 2012
    • 発表場所
      Incheon, Korea
  • [学会発表] Detection of focal points of hierarchical motion using point-light display

    • 著者名/発表者名
      Yakushijin, R. & Ueda, S.
    • 学会等名
      University of Rochester CVS Symposium, Computational Fundations of Perception and Action
    • 発表場所
      Rochester, NY USA

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公開日: 2014-07-24  

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