研究課題/領域番号 |
23530963
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
中村 信次 日本福祉大学, 子ども発達学部, 教授 (30351084)
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キーワード | 自己運動 / 運動知覚 / 画像特徴 |
研究概要 |
平成25年度においては、過年度の取り組みを継続し、視覚誘導性自己運動知覚(ベクション)に及ぼす画像特徴操作の効果に関する心理実験を継続した。昨年度実施した「ミニチュア化効果」実験(自然動画像に対する色彩操作、空間周波数操作による画像印象[ミニチュア感]操作が自己運動知覚に及ぼす影響の検討)、および、刺激動画像の動的特性検討(実験静止画の反復提示に伴う連続運動印象[4 stroke apparent motion]を用いた自己運動知覚誘導)の成果を取りまとめた。これまでの主流であったランダムドットパターン等の抽象画像をベクション刺激として用いることの問題点、さらには自然動画像を視覚刺激として用いることの有用性を論じた。また、ベクションに大きな影響を及ぼす視覚刺激要因として近年関心を集めている視覚刺激振動(jitterもしくはoscillation)に関しても検証実験を行った。観察者の眼球運動を能動的に操作することにより、実際の視覚刺激振動と網膜上でのそれとが整合/不整合する状況を作り出し、それぞれのベクションへの寄与を分析したところ、網膜上での視覚刺激振動がベクションに及ぼす影響が支配的であることを見出している。これらの実験は、複数の学術論文として年度内に公開されている。 平成25年度後半期からオーストラリア・ウーロンゴン大学における心理実験を開始した。日本、オーストラリアおよびカナダのベクション研究者による国際的な研究協力体制を構築し、両眼視差情報や視覚対象間相対運動など、視覚刺激特性がベクションに及ぼす影響に関し総合的に検討を進めるための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の健康上の理由により、当初は研究計画の最終年度である平成25年度に実施予定であった心理実験結果の取りまとめと、それに基づく自己運動知覚に関する心理モデルの構築を行うことができなかった。1年間研究期間を延長し、次年度それらを着実に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度実施することが不可能であった研究成果の取りまとめを平成26年度実施する。これまで重ねてきた心理実験結果に基づき、視覚刺激の画像的特徴による自己運動知覚の変動を説明可能な心理モデルの構築を目指す。構築されたモデルの妥当性を検討するために、追加の心理実験を実施し、その結果と合わせ、学会報告や学術論文等において自己運動知覚モデルを当該領域に関心を持つ研究者に広く提起する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者の健康上の理由で平成25年度後半期予定していた研究活動を行うことが不可能であった。 研究計画を1か年延長し、平成26年度研究計画の集大成としての成果の取りまとめを行う。繰り越した研究費は、研究成果の公表(学会参加費、出張旅費、論文執筆の際の英語校正、論文掲載費、等)、および追加の検証実験の実施(実験用備品/消耗品の購入、実験参加者謝金、等)に使用する。
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