自然環境下での視点移動時に得られる網膜像流動と等価な視覚刺激(実世界画像)を誘導刺激として用い、視覚誘導性自己運動知覚(ベクション)に及ぼす視覚刺激が持つ画像特徴の効果を分析する心理実験を行った。ベクション強度を計測する心理実験において、1)画像処理による「ミニチュア化」を用い、刺激動画像の運動成分を保持したまま画像の印象や意味を大きく変化させた、また2)特殊な仮現運動知覚を用いることにより、刺激動画像に含まれる運動情報と変位情報とを分離した。複数の心理実験の結果、ベクション強度が画像印象やその意味によらず、視覚刺激に含まれる運動成分に強力に規定されることが明らかとなった。
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