本研究の目的は,触覚を含む自己受容覚の変化によって奥行き知覚が影響されるようすを両眼網膜像差,きめの勾配,陰影の手がかりごとに記述することであった.3実験の結果,1)両眼網膜像差は姿勢の効果(上方視,前方視,下方視)の効果がまったく認められなかった.2)きめの勾配については,姿勢の効果は認められなかったが,床パターンは天井パターンに比べて,前額平行面に近づいて見えた.3)陰影には姿勢の効果が認められた.陰影刺激を上方視で観察したときは,他の条件(前方視,下方視)と比べて,凸に見える頻度が高まる傾向があった.
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