研究課題/領域番号 |
23530966
|
研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
増田 尚史 広島修道大学, 人文学部, 教授 (90335018)
|
研究分担者 |
T・A Joyce 多摩大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20418677)
小河 妙子 東海学院大学, 人間関係学部, 准教授 (30434517)
川上 正浩 大阪樟蔭女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40242789)
藤田 知加子 南山大学, 人文学部, 准教授 (70300184)
|
キーワード | 漢字二字熟語 / 意味的透明性 / 意味的関連性 / データベース |
研究概要 |
平成25年度には,まず,前年度に引き続き,日本工業規格第一水準に登録されている常用漢字2字からなる語のうち,国立国語研究所の現代日本語書き言葉均衡コーパスを基に算出した長単位出現頻度が49以上の10,015語を対象に,各熟語の意味と,語頭および語尾の漢字のそれぞれの意味との関連性(意味的透明性)に関する評定調査を,インターネットを経由して,研究代表者および分担者の所属機関の大学生延べ1710名に協力を仰いで実施した。 その結果,語頭漢字の意味的透明性は高いが語尾漢字の透明性は低い熟語(“適切”)や,逆に語頭漢字の意味的透明性は低いが語尾漢字の透明性は高い熟語(“宿敵”)が存在し,さらにはいずれの漢字の意味的透明性も低い熟語(“油断”)も存在することが確認された。 次に,本調査結果を,熟語の統語構造に関するデータ(Masuda & Joyce, 2005)と比較したところ,類義漢字2字からなる熟語(“恋愛”)では,その他の構造の熟語より,語頭と語尾のいずれの漢字とも意味的透明性の評定値が高いことが確認された。さらに,漢字の形態素としての役割に注目し,読みが異なれば形態素が異なると仮定し分析したところ,熟語内での漢字の読みの違いによって,当該漢字と熟語との意味的透明性に違いが生じうることが確認された。たとえば,漢字“下”については,語頭で/ka/と発音される熟語(“下位”)の意味的透明性の評定値は,語頭で/shita/と発音される熟語(“下請”)よりも高いことが確認された。 以上の分析を通じて,特定の形態素からなる熟語群ごとに,当該漢字と熟語間の意味的透明性の平均値を,当該群内の熟語間の意味的関連性と見なし,出現頻度や統語構造などその他の指標とともにデータベース化した。
|