研究課題/領域番号 |
23530967
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星 玲子 (柴 玲子) 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (90291921)
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研究分担者 |
古川 聖 東京芸術大学, 美術学部, 准教授 (40323761)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 音楽階層構造 / 認知モデル / 行動解析 / 生理計測 / 終止形 / 終止度 / 文脈自由文法 |
研究概要 |
音楽は、情動など言語外の情報を伝達可能であり、人間にとって必須のコミュニケーションツールである。多くの音楽は、文化特異的な規則により構築されている。音楽の表現力および情報伝達力を調べるためには、その構造自体を体系的に分析するモデルの構築が非常に重要である。そこで本研究では、西洋調性音楽の統語構造に着目した。言語の句構造文法のひとつである文脈自由文法(context free grammar: CFG)に音楽の機能和声の終止度を導入することにより、新しい音楽構造の階層化モデルの構築を提案する。さらに心理及び脳機能計測によりその検証を行うことにより、ヒト認知に基づき音楽階層構造を体系化することを目的とする。 本年度の研究計画は、これまで行っていた終止度認識の心理学的分析を継続し、その結果から音楽階層構造モデル構築すること、さらにそのモデルを行動実験により検証することである。 申請者は、まずこれまでの心理学的手法を用いた研究を継続して行った。具体的には、聴取者に連続する機能和声に埋め込まれた終止形認識課題を呈示し、それぞれの終止形の構造と心理的終止感の相関を分析し終止度の数値化を行った。その結果、終止形構造に基づき、心理学的な終止度の強さに違いがあることが示された。 申請者は、この結果をもとに、現在、音楽階層構造モデルの原型に具体的な終止構造を組み入れたモデルの構築、および行動実験による修正を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」は、音楽構造の階層化モデルを構築し、ヒト認知に基づいた音楽階層構造を体系化することである。音楽の表現力および情報伝達力を調べるためには、その構造自体を体系的に分析するモデルの構築が非常に重要である。そこで本研究では、西洋調性音楽の統語構造に着目した。言語の句構造文法のひとつである文脈自由文法(context free grammar: CFG)に音楽の機能和声の終止度を導入することにより、新しい音楽構造の階層化モデルの構築を提案している。 本年度の研究で記載してた内容は、終止度認識の心理学的分析と音楽階層構造モデル構築を行うことである。申請者は、申請書の記載した計画通り、本年度までにすでに開始していた、これまでの心理学的手法を用いた研究を継続し、聴取者に連続する機能和声に埋め込まれた終止形認識課題を呈示し、それぞれの終止形の構造と心理的終止感の相関を分析し終止度の数値化を行った。さらにこの結果をもとに、音楽階層構造モデルの原型に具体的な終止構造を組み入れたモデルの構築を行っている。 また、さらに申請書に記載した通り、音楽の階層構造モデルの行動実験による検証を継続して行っている。申請書に記載した通り、句構造文法のひとつである文脈自由文法(context free grammar: CFG)に音楽の機能和声の終止度を導入した。このモデルによる階層構造と被験者の階層構造認識の一致度からのモデルの検証およびモデルの修正を行っているところであり、申請の研究計画に合致している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画の推進方策は、まず、現在進めている音楽階層構造モデルの行動実験による検証と修正を終わらせ、音楽階層構造モデルの構築を完了させることである。そのためには、これまで行ってきた方法を継続する。 さらに、この音楽階層構造モデルの構築が完了した後、生理計測による検証を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の通り、本年度はまず行動実験による音楽階層構造モデルの構築の完了を目指す。この部分で必要な経費は、被験者への謝金および、本年度に使用してきたもので実施することが可能である。その後の生理実験を開始するために、生理計測のための機器の購入が必要である。研究計画に記載した通り、生理計測装置の購入が本年度の主な使用となり、さらに必要な消耗品の購入を行う予定である。
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