研究課題
自閉症者と定型発達者では知覚・認知上処理スタイルに様々な違いが指摘されている。しかし,定型発達者(=非自閉症)の中にも自閉性傾向には大きな個人差があり,共同注意にはこの自閉性の個人差が影響することが報告されている。本研究では,自閉性が高い(自閉症者に近い)定型発達者と自閉特性が低い定型発達者で顔認知情報処理の差異がどのように生じるかを調べることを目的とする。近年開発された,分類画像法を用いて顔情報処理ストラテジーの個人差を詳細に視覚化し,反応一貫性分析により反応決定プロセスの影響も検討する。大きな画像データを用いて,分類画像における統計的有意ピクセルの計算,処理効率および内部ノイズの計算およびシミュレーションを行うための実験システムを開発し,予備的な実験を行い実験システムの妥当性を確認した。また,処理効率を計算する解析システムについても,予備的な実験にて妥当性を示した。それらの結果を得て,自閉症者の顔認知ストラテジーの特徴を可視化する実験を行った。その結果,自閉症者の中にはこれまでの研究からは予想もされなかった,額を用いるという特殊なストラテジーを採用していることを明らかにした。また同時に,自閉症者の中には,定型発達と同様なストラテジーを採用していることも明らかにした。さらに,処理効率と理想的ストラテジーとの比較など,様々なパラメータについて,自閉症者の特長を明らかにした,これらの結果は従来の心理物理法では明らかにできなかった実験結果であり,分類画像法の特徴を最大限活かした成果であると考える。
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Universitas Psychologica
巻: 12 ページ: 1567-1581
Frontiers in Psychology, 4
巻: 4 ページ: 1-11