研究課題/領域番号 |
23530971
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
菅生 康子 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40357257)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 霊長類 / 単一ニューロン活動 / 報酬 / 視覚刺激 |
研究概要 |
脳の中には生存に重要な視覚情報を選んで記憶する何らかの原理があるはずである。本研究の目的は、霊長類の脳のどこで、どのように、なぜある視覚情報を記憶できるのか、報酬に基づいた視覚情報の連合記憶の神経機構を明らかにすることである。そのため同一行動課題を用いて神経生理学的研究を系統的に施行する。ニューロン活動に含まれる視覚信号、記憶信号、報酬信号を分離し、各々の領野が視覚、記憶、報酬の処理のどれに重要なのかを推測してその役割を考察する。 ニューロン活動から視覚情報処理に関わる信号と記憶の処理に関わる信号を分離するため、条件性連合キュー報酬課題を開発した。条件性連合キュー報酬課題では、経時的に呈示する2つの視覚刺激(cue1とcue2)の組み合わせによって報酬あるいは無報酬となる課題である。サルはcue1を記憶し、続いて呈示されるcue2を見ることで報酬/無報酬を期待することができる。 本年度は、条件性連合キュー報酬課題を遂行中のサルの傍嗅皮質あるいは下側頭皮質からニューロン活動を記録した。解析した結果、報酬信号を表現するニューロンは傍嗅皮質のほうが下側頭皮質よりも多いことが分かった。他方、視覚信号および記憶信号を表現するニューロンは下側頭皮質のほうが多かった。これらの結果は、下側頭皮質から送られる視覚信号と記憶信号をもとに、傍嗅皮質ニューロンが報酬信号との連合を行っている可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に実験を行いデータを収集できているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き神経活動の記録実験を行い、特に下側頭皮質について十分な量のデータを収集する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に引き続き、条件性連合キュー報酬課題を用いて、傍嗅皮質およびTE野でニューロン活動の記録・解析を行う。傍嗅皮質でどのように報酬信号が生じるかを調べるにあたり、Cue2の呈示時間を操作することが有用な可能性があることに気付いた。そこで、視覚刺激の呈示時間を操作できる装置を購入することを計画している。
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