研究課題/領域番号 |
23530972
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
瀧田 正寿 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40344204)
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研究分担者 |
藤原 清悦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10440322)
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キーワード | 前頭前野 / 海馬 / 扁桃体 / ドーパミン / 記憶 / 意思決定 / 電気生理 / 脳内微小透析法 |
研究概要 |
遅延交代反応トレーニング:ラットの飼育・繁殖・課題のトレーニングは研究代表者と雇用した研究補助1名(15時間/週)が担当した。中央に給水ノズルがあり左右に2ランプ2レバーのあるオペラント箱で1.5秒と3秒の遅延交代課題を訓練した。オリジナル(参照:Izaki et al.2008)は4秒と16秒だが、それぞれ異なる日に試験している。本法は同一日に1.5秒と3秒を交互に試験可能なことが確認できた。高架式十字迷路:迷路を自作し、計測装置を導入した。週齢・ハンドリング数・照度・迷路に入るときの方向、に応じて開路と閉路へ行く比率が大きく左右されることが判明した。更に、週毎3回、同じ動物群をテストした結果、最終的に閉路に留まることも判明した。つまり、これまでの解釈だと「不安増大」となる。本装置は「探索行動」と「不安」の比率を計測すると仮定すると「探索行動>不安」か「探索行動<不安」なので、既知環境で探索行動が生じないとき、不安の程度に因らず閉路に留まると理解できる。現在、電気生理実験よりも、両行動計測の関係を解析することを急務としている。2部位の自発神経活動の関係から神経回路機能の解析:聖マリアンナ医科大学で購入したワークステーションで解析方法を確立した。中間海馬、腹側海馬、前頭前野の3部位で同時記録し、その間の情報伝達方向を検出できた(論文投稿中)。早期母仔分離モデルのおける解析:昨年度、前頭前野-扁桃体路のパルス状の神経伝達効率について、早期分離群は探索行動と正相関、通常分離群は負相関することが判っている。この理由にドーパミンが強く寄与することが予想されている。また、2部位の自発神経活動の関係から神経回路機能の解析を行う際、扁桃体だけでなく前頭前野のドーパミンの寄与率が大きいことも想像されるため、幼弱時手綱核破壊モデルを利用したドーパミンの解析も始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由)昨年度に「大震災の影響で、複数の動物実験施設の集約化が3年前倒しとなった。この大震災と引越で半年ほど計画が遅れているが、新しい研究環境で安定した繁殖を行うことも確認でき、次年度、遅れを巻き返す目処がたった。」と書いたが、本年度、震災の直接的影響は軽減された。しかし、高架式十字迷路での計測が安定していない状況なので、作業記憶と不安行動の関係の解析が進んでいない。複数の知人に相談中。
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今後の研究の推進方策 |
高架式十字迷路での計測を安定させて、作業記憶と不安行動の関係の解析を進めつつ、電気生理実験も進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物飼育やトレーニングの補助要員雇用など。
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