研究課題/領域番号 |
23530979
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小泉 祥一 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30136410)
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キーワード | 教育評価 / 学力評価 / 指導要録 / 教育課程経営 / 学習評価 |
研究概要 |
義務教育学校における学力評価システムの改善モデルを構築するために,文部科学省,教育委員会に対する聞き取り調査を行うとともに,指導要録改訂に伴う指導要録記入の手引を収集し,分析を行った。 文部科学省調査や教育委員会調査から,参考様式として提示された指導要録の様式が,中学校現場でもほぼそのまま使用され,現行の観点別評価と評定による評価方式が浸透しているが,時間的な作業負担や説明責任の心理的負担が大きいことが分かり,観点別評価と評定の取り扱い及び校種間の関連性について今後の検討が必要であることが明らかになった。すなわち,学習指導要領と指導要録の項目の整合性と一貫性,および小学校・中学校・高等学校における評価項目の整合性と一貫性についての検討が必要ということである。このことに関わって,最近,文部科学省で,「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」が組織され,教育目標・内容と評価のあり方についての検討が開始されたので,注視する必要がある。 一方において,児童生徒成績管理システムを構築することにより,標準化を志向し学校や教師の作業負担の軽減に取り組んだり,また県内の小中学校の教員で作る研究団体の研究成果を参考にしたりするなど,さまざまな工夫がなされていることが明らかになった。 さらに,学力評価については,OECDのTALISなどにおいて,その結果だけでなく,各国における学習環境などの条件整備との関係に注目して研究が進められていることが明らかになった。 これらの調査や資料・文献分析から得られた知見をもとに,次年度は義務教育学校における学力評価システムの改善モデルの構築と評価を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文部科学省調査や教育委員会調査について,当初の計画以上に行うことができ,各教育委員会における取り組みの工夫や違いについて把握することができた。 また,学校と教師の取り組み状況についても一定程度把握することができ,中学校現場における学力評価の方式の浸透状況や課題も浮き彫りになった。 さらに,計画当初からの仮説であり検討課題であった学習指導要領と指導要録の項目の整合性と一貫性,および小学校・中学校・高等学校における評価項目の整合性と一貫性についての検討が必要ということが確認できた。そのことは,現在,文部科学省内で,「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」が組織され,教育目標・内容と評価のあり方について検討されはじめていることからも理解することができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23,24年度の調査研究をもとに義務教育学校の学力評価システムの改善モデルの構築と評価を試みる。 教育委員会への調査(質問紙調査と面接調査)を行い,学力評価における工夫と課題を把握する。 学力形成と学力評価に力を入れている小・中学校(とりわけ小・中一貫義務教育学校)への調査を行い,学力評価における工夫と課題を把握する。研究協力者の学校を中心に依頼する。 教育委員会調査と学校調査をもとに,義務教育学校の学力評価システムの改善モデルを修正し,構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費200000円,旅費200000円,人件費・謝金200000円,その他400000円に使用する。また,次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことにより伴い発生した未使用額であり,上記の平成25年度請求額とあわせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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