研究課題/領域番号 |
23530984
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
丸山 剛史 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (40365549)
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研究分担者 |
井上 惠美子 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (80259316)
笠間 賢二 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (50161013)
釜田 史 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60548387)
山本 朗登 山口芸術短期大学, その他部局等, 講師 (60611704)
遠藤 健治 美作大学, 生活科学部, 准教授 (50288031)
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キーワード | 教育学 / 教育史 / 初等教員養成 / 教員検定 |
研究概要 |
最終年度は、3年間の総括として、静岡県の初等教員検定制度の展開過程を明らかにするとともに、検定制度利用者の実例を位置づけ、初等教員検定の意義について考察した。考察に際しては、主に秋田県との比較を行い、静岡県的特徴の有無に留意した。 検討の結果は次の通りである。1)静岡県の場合、1926年に小学校教員検定の無試験検定が県内公立小学校在職者に限定され、無試験検定が厳格化されるとともに、試験検定が従来の年1回から年2回へと改められ、受験機会を増やし試験検定重視へと転換していたことが明らかになった。秋田県ではこうした変化はみられず、これは静岡県的特徴であると考えられた。2)静岡県でも小学校教員講習科、臨時教員養成所などの教員養成施設が教員検定を利用していたが、その他に県・郡レベルで多様に教員供給が試みられ、そこでは教員検定、特に臨時試験検定が実施されていたことが明らかになった。師範学校では補いきれない有資格教員の供給を教員検定が担っていたことが静岡県でも確認できた。3)文部省も教員検定制度を利用していたことが明らかになった。1926年から31年にかけて、文部省は師範教育改善事業として尋常小学校本科正教員講習会を開催し、検定により小学校本科正教員を輩出していた。4)師範学校入学者も大正末期までは准教員を経て入学する者が多く、准教員検定が師範学校進学へのルートないしは呼び水になっていた可能性があると考えられた。その代表例としては、戦前・戦後の教育学者として著名な石山脩平があげられた。石山は、准教員養成所を経て准教員として勤め、教育に深く関心をもち、教育学研究へと進んでいった。 以上のように、戦前日本の初等教員の供給において、教員検定が師範学校進学への呼び水、教員供給及び教員の資質向上の重要な手段になっていたことが明らかになった。また、その制度は府県により異なることも明らかになった。
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