• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

学習者の発達的ニーズに応える中等教育カリキュラムの開発と実証

研究課題

研究課題/領域番号 23530987
研究機関千葉大学

研究代表者

上杉 賢士  千葉大学, 教育学部, 教授 (50323382)

研究分担者 市川 洋子  盛岡大学, 文学部, 准教授 (40593588)
天野 一哉  星槎大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10600364)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード中等教育 / カリキュラム / 発達的ニーズ / Project-Based Learning
研究概要

本研究は、中等教育における現行のカリキュラムが思春期(前青年期)の若者の発達的ニーズと乖離していることが学校不適応現象の一因ではないかとの仮説に基づく実践研究である。この課題に取り組むために、本年度は、Project-Based Learning(以下、PBLとする)を中等教育段階の学びの方法として確立したアメリカ・ミネソタ州を中心とした学校視察、わが国におけるPBL実践校への実践支援、学びの成果を共有し合う「PBLフェスタ2012」の開催などの活動を行った。 PBLを開発したMinnesota New Country Schoolを中心としたPBL校では、若者の発達的ニーズを「自律性」「帰属意識」「目標指向性」にあると仮説を立て、アドバイザーと呼ぶ教師と生徒との間に親和的な関係が醸成されていた。これを基盤にして、若者は学びの意欲と将来への希望を獲得し、自らのテーマと確かに向かい合う姿が確認された。また、視察したPBL校はそれぞれの実情に応じて柔軟な導入を行っていた。 わが国における実践支援を通して、PBLの実践が教師と生徒との親和的な関係を構築するために有効であることが確認され、わが国の現行カリキュラムにPBLを位置づけるための有効な示唆が得られた。2012年3月には、7校11チームの参加を得て「PBLフェスタ2012」を開催した。この企画は日常的な取り組みの成果を共有し合うもので、特に実践支援をしている尚絅学院高等学校の生徒のプロジェクトは、高い評価(グランプリ)を得た。 本年度の研究を総括すると、PBLが日常の取り組みとして浸透しつつある学校では、生徒の学びに対する強い意欲が見られるとともに、同時進行的に教師と生徒の親和的な関係が構築できることへの確かな見通しが得られたことが成果である。この点は、本研究の所期の目的に照らして大きな前進であったといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究では、当初の計画として、2011年8月にミネソタ州から研究者や実践家を招へいして「エドビジョンセミナー2011」を開催する予定であった。これは、2005年と2008年に続く3回目の開催で、PBLの実践的展開に関する理論や方法をわが国の教育関係者に広く提供することを目的としていた。 なお、「エドビジョン(EdVisions)」とは、Minnesota New Country Schoolの成功に対して申し出があったゲイツ財団からの助成金を受け取ることを契機にして設立された学校支援組織で、現在では全米にPBL校を設立するための支援活動を行っている。 しかし、東日本大震災が発生し開催に困難が生じたため、先方と協議した上でほぼ1年の延期とした。そのため、研究計画には大きな変更が余儀なくされた。達成度を「遅れている」とした理由は、ほぼこの点に尽きる。また、そのために用意した予算は、基金化の恩恵を受けてそのまま次年度に繰り越すことになった。

今後の研究の推進方策

本研究の目的は、Procect-Based Learning(PBL)が思春期の若者の発達的ニーズに合致した学びであることを実証することにある。そのために、多くのデータを集積することが、今後の重要な課題となっている。その意味において、2011年には開催できなかった「エドビジョンセミナー」の開催は必須の条件である。 現在、2012年8月に、千葉(会場:千葉大学、18・19日)でワークショップ、仙台(会場:尚絅学院高校、20日)と東京(会場:法政大学の予定、21日)でシンポジウムを開催することで関係者との合意ができ、総参加者数は300名を見込んでいる。「エドビジョンセミナー」は、これらを含む企画の総称として使用している。 このセミナーを契機として、わが国においてPBLに関心をもつ教育関係者の増加を図るとともに、研究代表者らは積極的な実践支援を行うことにしている。現在、以前から実践支援をしている5校(京北学園白山高校、尚絅学院高校、静岡県立伊豆総合高校、千葉県立千葉中学校、京北学園中学校)に加えて、アメリカでのPBL校視察に同行した2校(尚絅学院中学校、大阪国際大和田中・高校)から参加の申し出がある。最終的には、中・高校合計で15校程度になることを想定している。

次年度の研究費の使用計画

帳簿上の残額は2,212,000円となっているが、うち673,040円はすでに確定しており(平成23年度使用の旅費)、実質的な残額は1,538,960円である。これに、平成24年度に交付予定の800,000円(支払い請求済み)を加えた2,338,960円が、平成24年度に使用可能な予算総額である。(以上はすべて直接経費ベースである) 「エドビジョンセミナー」では、招へいを予定している講師2名への渡航費、滞在費、報償費等で計1,600,000円の支出を予定している。残りの738,960円は、人件費(データ整理)、旅費(アメリカ)、物品費等として使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] プロジェクト・ベース学習が育む学びのオーナーシップ2011

    • 著者名/発表者名
      上杉賢士
    • 学会等名
      日本協同教育学会第8回大会(招待講演)
    • 発表場所
      千葉大学教育学部
    • 年月日
      2011.10.1
  • [学会発表] 高等学校におけるPBLの実践と成果~ホープスタディの結果から見えてきたこと~2011

    • 著者名/発表者名
      市川洋子
    • 学会等名
      日本協同教育学会第8回大会
    • 発表場所
      千葉大学教育学部
    • 年月日
      2011.10.1
  • [図書] 「ルールの教育」を問い直す~子どもの規範意識をどう育てるか~2011

    • 著者名/発表者名
      上杉賢士
    • 総ページ数
      185
    • 出版者
      金子書房

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi