研究課題/領域番号 |
23530988
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
片岡 洋子 千葉大学, 教育学部, 教授 (80226018)
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研究分担者 |
佐藤 和夫 千葉大学, 教育学部, 教授 (90114496)
佐藤 隆 都留文科大学, 文学部, 教授 (70225960)
山田 綾 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50174701)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生活綴り方教育 / 生きづらさ / 教育実践 |
研究概要 |
本研究を計画したのは東日本大震災前だったため、申請時の研究計画には入っていなかったが、2011年3月11日以後、子ども・若者の生きづらさの問題は被災地では非常に深刻さを増している。研究代表者の片岡は、2011年6月以降、東日本大震災の被災地を訪問し生活綴り方を実践する教師をはじめ、学校関係者からの聞き取り等、実態調査を行っている。今のところは、福島の避難所で保護者や子どもたちから聞き取りを行ったことのまとめしか発表できていないが、引き続き、子どもたちの被災体験の表現と生活綴り方について研究中である。子ども虐待問題をとおして親や子どもの生きづらさについては、雑誌の子ども虐待の特集を編集担当し、論文を執筆した。研究分担者の佐藤和夫は、現代社会における青年の生きづらさを市場主義原理や男性性の観点から分析し、ワークライフバランスなど「等身大の生活」を営む自由を可能とするような社会の創生へ向けての民主主義のありかたについて研究し論文にまとめ、また学会発表を行った。研究分担者の佐藤隆は、生活綴方にあらわれた子どもと生活の現実をどうつかむかを教師たちが話し合い、生活綴り方教育の精神を貫いた教育実践と運動をつくった恵那の教育運動の戦後教育史における意義と特徴について論文を執筆した。また、そうした実践を今日に継承するために、若い教師たちと「教師のしごと」を創造するための編著をまとめた。研究分担者の山田綾は、子どもの生活現実から学びを構想することがどのように深められ、実践されてきたのかについて、全国生活指導研究協議会の理論と実践に即して分析し、生活やものの見方についてとらえ返し、「多声性」が共有され、検討され、合意される、共同的で多面的な学びの展開が求められることについて論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災後の被災地の子どもたちの生きづらさと生活綴り方教育の現代的課題に研究を広げたため、恵那への調査の実施が遅れたが、研究者全員での訪問調査を実施できた。分担した研究課題はそれぞれが順調に取り組んでいる。収集した資料の整理が予想より労力や時間を要することがわかったが、初年度に予定していた程度は達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災における子どもの生活の困難と表現については、被災地の学校を訪問し生活綴方の実践をしている教師からの聞き取りが必要になる可能性があるので、その計画をはかる。当初予定していた海外調査は、先方の研究者の勤務大学の事情が変わり、研究目的に沿った調査が困難となっているため、別の地域や研究者を捜す必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
2年目は、海外調査を予定していたが、当初予定していた訪問先が大学の改組によって困難となった。現在、代替地を探求中であるが、予定通り海外調査を行い、生活を表現し交流し合う文化や教育の現代的意義について研究調査する。そのための旅費が必要となる。恵那の丹羽徳子氏の自宅から収集した資料の整理や電子データ化のために、研究協力者の院生への謝金が必要となる。その他、文献資料等の物品費が必要となる。
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