研究課題/領域番号 |
23530999
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
早川 操 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50183562)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ジョン・デューイ / 協働的知性 / 組織的知性 / 文化的二重性 / 社会的民主主義 / 東アジア学問共同体 |
研究概要 |
平成23年度の研究実績については、第一に、同年6月に「京都フォーラム」において、デューイの公共哲学に関するシンポジウムに参加し、「デューイが見た日本と中国の課題」について発表した。 第二に、同年10月には、関西学院大学で開催された日本デューイ学会第54回大会において、「デューイの協働的探究に関する考察」について発表を行い、『日本デューイ学会紀要』第53号に研究論文を投稿し、掲載確定となった。 第三に、同年9月には、『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(教育科学)』に"The Search for Japanese Higher Education’s Role in the Construction of Global Universities in an Age of "Japan as No. 3"を執筆した。 第四に、同年10月には、論文「デューイによるバートランド・ラッセル判決批判―学問の自由における知性と探究の意義と限界―」(査読有)が『日本デューイ学会紀要』第52号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究活動に関する達成として、本研究1年目の平成23年度には、デューイの教育理論や公共哲学・社会哲学に関する研究に必要な図書や論文などを購入し、学会関係者との研究打ち合わせや研究調査、研究セミナーへの参加による資料・情報収集、ならびに学会発表を行った。これらの研究活動については、国内外においてデューイ研究が活発に展開されているため、2年目以降も継続する予定である。 また、今年度の学会発表では、デューイの協働的知性に関する研究に取り組むことによって、その特質に関する発表を「日本デューイ学会第54回大会」で行った。さらに、デューイの協働的探究に関する具体的な事例研究として、1920年代の日本における民主主義教育やリベラリズム思想の進展状況、当時の日本社会における協働的探究精神の普及状況についてのデューイの観察や批判を取り上げて、「第103回公共哲学京都フォーラム」において報告した。 本テーマに関する応用的な研究成果としては、現代のわが国における教育改革、とりわけ高等教育改革についての考察を行い、『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要』第58巻第1号に英語論文を執筆した。 平成23年度における本研究の目的に関する達成度については、2論文を出版し、2つの研究報告を行い、1論文が掲載確定となったので、「順調な達成状況にある」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究成果をさらに推進させるために、本研究の2年目・3年目には協働的探究の具体的事例として、1930年代のアメリカ教育改革や社会改革に関するデューイの著作や論文を分析し、それらに関する最近の研究者による研究成果を調査することにより、探究教育理論における「協働やシェアリング」の考え方を検討するとともに、彼の分析の意義や課題点を解明することに取り組む。 また、今後の応用的研究課題として、現代における協働的探究理論パラダイムについての検討を計画しており、「ケアリングと希望」の関連性、ならびにパウロ・フレイレの希望の教育学理論から得られる示唆に関する研究にも取り組む予定である。その成果に基づいて、最終年度における課題である「日本型希望の教育学」理論構築の研究に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の2年目にあたる次年度は、研究に必要なデューイ教育学・哲学関係の図書の追加購入と、ケアリング理論と教育関係の図書、希望の教育学関係の図書の新規購入に研究費を使用する予定である。 また、引き続いて、関連研究者との研究打ち合わせ・調査・研究会への参加を通じて新たな研究文献・論文・資料・情報などを収集するための旅費や、研究成果発表のための学会参加の旅費などに研究費を使用する予定である。 さらに、研究補助のためのアルバイト費やその他の費用にも研究費を使用する予定である。
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