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2012 年度 実施状況報告書

教育「支援」とその「排除性」に関する比較史研究

研究課題

研究課題/領域番号 23531000
研究機関広島大学

研究代表者

三時 眞貴子  広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90335711)

研究分担者 河合 隆平  金沢大学, 学校教育系, 准教授 (40422654)
江口 布由子  高知工業高等専門学校, 総合科学科, 講師 (20531619)
土井 貴子  比治山大学短期大学部, 幼児教育科, 講師 (00413568)
北村 陽子  愛知工業大学, 工学部, 准教授 (10533151)
森 直人  筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (10434515)
姉川 雄大  千葉大学, アカデミック・リンク・センター, 特任助教 (00554304)
キーワード国際研究者交流 / 教育支援 / 特別ニーズ / 職業教育
研究概要

今年度は昨年度に引き続き、分担者6名、連携研究者4名とともに3回研究会を行う予定にしていたが、予定通り、研究会を開催した。本研究はテーマごとに「児童保護と教育「支援」」、「特別なニーズに対する就学「支援」」、「職業教育「支援」」の三つの部会を設定して研究を行っているが、それぞれのグループの部会長が企画して一回ずつ研究会を行った。各部会で必要な場合にメンバー以外の研究者にも報告をしていただいた。
今年度は昨年度明確化した共通課題「科学的な知識・学問領域およびテクノロジーが「支援」に及ぼした影響」と「戦争が「支援」自体や被支援者に対するまなざしに与えた影響」について検討すると同時に、我々の基本課題を一つの言葉であらわすことができた。それは「排除の再定義」である。我々は「社会に排除されている集団・個人」が「支援」される場合、そこには「支援に値する」かどうかの選別があったと捉えて研究をおこなってきた。そして選別の結果、全ての者が支援の対象になるわけではないので、そこにさらなる「排除者」が誕生することになる。それを「排除の再定義」と呼ぶことにした。「排除の再定義」の結果、その者は社会の中でどのような扱いになるのか、排除の再定義は何を基準に行われるのかという点についても個別報告の中で議論した。最終年度である来年度は、グループごとの課題を解決すると同時に、これらの共通課題に関してもグループごとに研究を進めることになっている。
また今年度は国際セミナーを予定し、実際に1月開催に向けて、アメリカの研究者から承諾を得て準備を進めていたが、当該の研究者から来日が難しくなったとの連絡を受け、次年度に延期となった。この点は申請書に記載した今年度予定と大きく変わる点であるが、既に次年度開催への準備も始まっており、研究全体としては大きな変更ではない点を申し添えておく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、教育へのアクセスに対する支援、すなわち教育「支援」に付随して見えるこの「排除性」が、実際にはどのように展開されていたのかについて歴史的に探ることである。具体的には支援者、被支援者、彼らをつなぐ媒介者(ソーシャルワーカーや教師)が選別による排除をどのように捉えていたのか、どのようにして選別が行われたのかなど、選別過程や当事者に迫られた選択について比較分析することであった。今年度は二年目ということあり、三グループのメンバーほぼ全ての報告を共有でき、共通課題に関する議論も活発に行われた。
とりわけ、「排除の再定義」という共通課題が共有されたことは大きな進展であり、個別報告の中でそれを検討できたことは非常に意義深かった。

今後の研究の推進方策

来年度は、今年度開催予定であった国際セミナーを開催すると同時に、国内の研究者によるセミナーも予定している。この二つのセミナーは科研メンバーに限らず、多くの研究者に周知する予定であり、これらを実施することによってさらに議論を深めていく。
また最終的な取りまとめを行うために、全員で共通課題とグループ課題検討の研究会を二回行う予定である。
合計4回の研究会およびセミナーによって、最終的に研究をまとめあげていく。

次年度の研究費の使用計画

今年度開催予定であった国際セミナーが来年度に延期となったため、それにかかわる経費が全て繰越されている。また、研究分担者の中で研究会に参加できない者がいたために国内旅費も一部繰り越しとなった。この繰越金は次年度開催予定の国内セミナーの費用に充てる予定である。すなわち今年度繰り越した金額は、国際セミナーおよび国内セミナーにかかわる経費に使用予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 浮浪児の処遇と教育-19世紀後半マンチェスタを事例として-2013

    • 著者名/発表者名
      三時眞貴子
    • 雑誌名

      教育科学(広島大学大学院教育学研究科教育学教室)

      巻: 29 ページ: 5-41

  • [雑誌論文] 20世紀日本の教育=福祉レジームの形成と再編――問題の設定と展望2013

    • 著者名/発表者名
      森直人
    • 雑誌名

      社会学ジャーナル(筑波大学社会学研究室)

      巻: 第38号 ページ: 41-67

  • [雑誌論文] 第二帝政期ドイツにおける「母性保険」構想の展開と限界2012

    • 著者名/発表者名
      北村陽子
    • 雑誌名

      社会科学(同志社大学人文科学研究所)

      巻: 42-1 ページ: 223-245

    • 査読あり
  • [雑誌論文] "(Interview) Jedes Jahr um die halbe Welt"2012

    • 著者名/発表者名
      Yoko Kitamura
    • 雑誌名

      Hundert. Das Jubiläumsmagazin der Deutschen Nationalbibliothek

      巻: 4 ページ: 12-13

  • [学会発表] 浮浪児の職業教育-マンチェスタ認定インダストリアル・スクールの事例から-2013

    • 著者名/発表者名
      三時眞貴子
    • 学会等名
      比較教育社会史研究会2013年春季大会
    • 発表場所
      関西学院大学梅田キャンパス
    • 年月日
      20130318-20130318
  • [学会発表] 戦後日本の不就学障害児問題と養護学校教育義務化の構造に関するレビュー2012

    • 著者名/発表者名
      河合隆平
    • 学会等名
      「就学支援・特別ニーズ」グループ研究会
    • 発表場所
      慶応義塾大学三田キャンパス
    • 年月日
      20121111-20121111
  • [学会発表] 戦間期オーストリアの優生学・優生思想から見えること2012

    • 著者名/発表者名
      江口布由子
    • 学会等名
      西洋近現代史研究会サマーセミナー
    • 発表場所
      ペンション らんぶる
    • 年月日
      20120830-20120830
  • [図書] 反核から脱原発へ―ドイツとヨーロッパ諸国の選択2012

    • 著者名/発表者名
      北村陽子(若尾祐司・本田宏編)
    • 総ページ数
      395
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 圏外に立つ法/理論──法の領分[おしごと]を考える2012

    • 著者名/発表者名
      江口布由子(江口厚仁・吉岡剛彦・林田幸広編)
    • 総ページ数
      322
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2014-07-24  

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