明治政府の文部省は、明治5に学制を公布し、近代学校制度をスタートさせ、明治30年代になると、学校衛生関係の法規を策定・公布し、主要な学校衛生制度を整備した。本研究では、従来の学校衛生制度史研究に対して、学制をうけて地域の人々が率先した学校づくりの文脈で学校衛生史をとらえ、学校現場の学校衛生活動の実態と思想を明らかにした。具体的には、(1)岐阜県の中津川興風学校を事例とし、学校衛生の国家制度が明治政府によって確立される明治30年代以前、同校ではどのような学校衛生活動を行っていたか、また、(2)国家制度以後、彼らはどのようにそれを導入し実行したのかについて、同校の学校日誌を主史料として検討した。
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