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2011 年度 実施状況報告書

<他>文化理解のための政治教育:アメリカ哲学をめぐる文化横断的対話研究

研究課題

研究課題/領域番号 23531006
研究機関京都大学

研究代表者

齋藤 直子  京都大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20334253)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードプラグマティズム / アメリカ超越主義 / 翻訳としての哲学 / 政治教育 / 生き方としての民主主義 / スタンリー・カベル / <他>文化理解と哲学の文化横断的対話 / 国際研究者交流(北米、ペルー、欧州、イスラエル)
研究概要

本研究は、グローバル化の時代に自文化、自言語との関わりを再考し、他者に開かれた隣人性を文化の内側から育むために、倫理的、実存的な人間変容と不可分な<他>文化理解のための政治教育の再構築を目指す。アメリカ、アジア、ヨーロッパの研究者の文化横断的対話を通じて、プラグマティズムと超越主義のアメリカ哲学が移民性の哲学、翻訳の哲学として、「偉人と異人を受容する民主主義共同体」の創造に資する広義の政治教育の教育的意義を導き出すことを目指す。 平成23年度は、海外共同研究者ポール・スタンディッシュ氏(ロンドン大学教育研究所教授)との国際的連携を軸に、共同著作の執筆に関わる企画を推進した。(1) 2011年5月、ハワイ大学東西哲学者会議のパネルにスタンディッシュ氏と共に参加し招待講演を行った。(2)2012年3月、スタンディッシュ氏単著『自己を超えて:ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、レヴィナスと言語の限界』出版、3月のイギリス教育哲学会において、イギリス、ベルギー、日本の諸研究者らとと同著出版記念シンポジウムを開催した。(3)2011年12月、国際会議 『翻訳のさなかにある文化と主体/主観性』を京都大学にて開催し、編著『翻訳のさなかにおける社会正義』(東京大学出版会、プロポーザル正式受理)、および英語版 (Springer社、出版予定)の企画が推進された(4)2012年3月17日に、アメリカ哲学促進学会で、英語論文「デューイはソローよりコスモポリタンか」を発表し、アメリカ哲学史部門における最優秀賞、Joeph L. Blau Prizeを受賞した。(5)2012年3月19日~20日にスタンディッシュ氏と共にハーバード大学で国際会議を開催し、カベル他、アメリカ、ヨーロッパ諸国の哲学者たちとの議論を経て、同氏との英語の共編著『カベルと<他>文化についての思考』の出版計画が躍進。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

英語著作の書籍の出版については、当初計画より遅れているもの、変更があったもの、当初予測されていなかった企画の誕生と進展など、変更があったが、「<他>文化理解のための政治教育:アメリカ哲学をめぐる文化横断的対話研究」という研究課題に即してみるなら、全体的にきわめて順調に進展している。その成果は、(1)「翻訳のさなかにある社会正義」をめぐる異文化間、学際的対話研究の推進企画として、東京大学出版会より編著の出版が決定したこと、(2) 英語版をSpringer社から出版すべく企画を進めることになったこと、(3) 同課題研究に関わる英語の単著をFordham University Pressから出版する計画を続行していること、(4) 日本語版をみすず書房から『アメリカ哲学の夜明け』として出版することが正式決定したこと、(5) Society for the Advancement of American Philosophyにおいて、アメリカ哲学が異文化理解とコスモポリタンの教育においてもつ意義を論じた英語論文が、最優秀賞を受賞したこと、などに示されている。その他、(6) 共同研究者スタンディッシュ氏の単著の出版とその成果をイギリス教育哲学会で、ヨーロッパ、アジアの研究者とシンポジウムで発表したこと、(7) これの成果を発展させ、2012年、日本の哲学会、教育哲学会で推進する企画が誕生したこと、なども挙げられる。こうした国際的な業績が認められ、2012年3月より、アメリカ、デューイ学会の理事に選出された。

今後の研究の推進方策

上述の、現在までの業績、達成事項を元に、(1)「翻訳のさなかにある社会正義」をめぐる日本語と英語の共編著(スタンディッシュ氏共著者)、(2)同課題研究に関わる英語の単著をFordham University Pressから出版する出版企画、執筆の続行、(3)日本語版をみすず書房から『アメリカ哲学の夜明け』として出版する企画、執筆の推進、(4) 共編著、Stanley Cavell and the Thought of Other Cultures(『カベルと<他>文化についての思考』)の出版計画の推進、(5) 海外共同研究者スタンディッシュ氏との共著、Democracy and Education from Dewey to Cavell(Blackwell 社より出版予定)の完成に向けて執筆を続行する、などが挙げられる。 またこれまでと同様、「教育としての哲学」という学際的観点から、哲学者、教育哲学者との異文化間対話を、研究の手法として用いてゆく。その過程で、国際会議等を開催してゆく。海外での学会発表も引き続き行ってゆく。

次年度の研究費の使用計画

概要:「<他>文化理解のための政治教育:アメリカ哲学をめぐる文化横断的対話研究」の課題に関わる国際会議を、海外共同研究者スタンディッシュ氏との国際連携を主軸に、日本もしくはアメリカで開催し、海外共同研究者を招聘するための国際交流会議開催間経費、旅費に研究費の多くを使用する予定である。他には、研究課題に関わる洋書の購入、英語著作執筆、編集のための人件費として、英文校閲謝金を支出する予定である。<具体的計画>2012年内に、スタンディッシュ氏との共編著であり、アジア(日本、韓国)、アメリカ、ヨーロッパの研究者の東西対話の英語の編著『京都学派の教育思想』を出版予定。2012年秋に、スタンディッシュ氏との共同編著Stanley Cavell and the Education of Grownupsの出版記念シンポジウムをロンドン大学教育研究所で開催予定。2012年9月に、日本教育哲学会において、日本の研究者と『自己を超えて』のシンポジウム企画予定。2012年11月に、日本現象学会において、日本の研究者と『自己を超えて』のシンポジウム企画予定。2012年12月に、スタンディッシュ氏を日本に招聘し、共著、共編著の執筆、出版企画を推進し、また講演会を開催する予定。2013年3月にアメリカ哲学推進学会で英語論文発表、アメリカ教育哲学会、イギリス教育哲学会にて英語論文を発表予定。2013年3月にアメリカにおいて『翻訳のさなかにある社会正義』をめぐる、哲学の異文化間対話研究の国際会議を開催予定。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 生活のエコノミー・新たな教育のエコノミー2011

    • 著者名/発表者名
      ポール・スタンディッシュ著/齋藤直子訳
    • 雑誌名

      生存科学

      巻: 22巻 A ページ: 143-156

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quiet desperation, silent melancholy: Polemos and passion in citizenship education2011

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 雑誌名

      Ethics and Education

      巻: Vol. 6, No. 1 ページ: 3-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Becoming cosmopolitan: On the idea of a Japanese response to American philosophy2011

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 雑誌名

      Transactions of Charles S. Peirce Society

      巻: Vol. 47, No.4 ページ: 507-523

    • 査読あり
  • [雑誌論文] From Meritocracy to Aristocracy: Towards a Just Society for the ‘Great Man’2011

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 雑誌名

      Journal of Philosophy of Education

      巻: Vol. 45, No. 1 ページ: 95-109

    • 査読あり
  • [学会発表] Beyond the Self: Discipline and tradition twenty years in translation2012

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 学会等名
      Philosophy of Education Society at Great Britain
    • 発表場所
      オクスフォード大学(英国オクスフォード)
    • 年月日
      2012年3月31日
  • [学会発表] Conversation without Conversation: Becoming political in uncommon schools2012

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 学会等名
      Philosophy of Education Society
    • 発表場所
      ルネサンスホテル(米国ピッツバーグ))
    • 年月日
      2012年3月24日
  • [学会発表] "The wild-goose is more of a cosmopolite than we": Encountering the untranslatable, becoming cosmopolitan2012

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 学会等名
      ハーバード大学における国際会議 "Stanley Cavell and the Understanding of Other Cultures"
    • 発表場所
      ハーバード大学(米国ケンブリッジ)
    • 年月日
      2012年3月20日
  • [学会発表] Is Dewey More Cosmopolitan than Thoreau?2012

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 学会等名
      Society for the Advancement of American Society(Joeph L. Blau Prize受賞)
    • 発表場所
      フォーダム大学(米国ニューヨーク)
    • 年月日
      2012年3月17日
  • [学会発表] デューイ、エマソン、カベル:完成主義と教育2011

    • 著者名/発表者名
      齋藤直子
    • 学会等名
      京都フォーラム(招待講演)
    • 発表場所
      ポートピア神戸
    • 年月日
      2011年6月12日
  • [学会発表] The Conversation of Justice: Rawls, Sandel, Cavell and Education for Political Literacy2011

    • 著者名/発表者名
      Naoko Saito
    • 学会等名
      ハワイ大学東西哲学者会議(招待講演)
    • 発表場所
      ハワイ大学マノア校(米国ホノルル)
    • 年月日
      2011年5月21日
  • [図書] 『自己を超えて:ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、レヴィナスと言語の限界』2012

    • 著者名/発表者名
      ポール・スタンディッシュ著/齋藤直子訳
    • 総ページ数
      606
    • 出版者
      法政大学出版局
  • [図書] 「幸福の追求ー完成主義とリベラル・エデュケーション」『幸福感を紡ぐ人間関係と教育』(子安増生・杉本均編))2012

    • 著者名/発表者名
      齋藤直子
    • 総ページ数
      43-58
    • 出版者
      ナカニシヤ出版

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公開日: 2013-07-10  

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