研究実績の概要 |
本研究は、グローバル化の時代に自文化、自言語との関わりを再考し、他者に開かれた隣人性を文化の内側から育むために、倫理的、実存的な人間変容と不可分な<他>文化理解のための政治教育の再構築を目指す。アメリカ、アジア、ヨーロッパの研究者の文化横断的対話を通じてアメリカ哲学の現代的意義を批判的に解明しつつ、それが人間変容に関わる広義の政治教育に対してもつ実践的意義を明らかにする。 最終年度である平成26年度は総括としてイタリアの国際教育哲学会で審査受理単著英語論文を発表し、これが選抜されて国際学術誌Ethics and Educationに出版された。また同学会で本課題研究に関わる海外共同研究者ポール・スタンディッシュ氏らと他文化理解と翻訳に関わる国際パネル発表を行った。次大会で「翻訳としての哲学と他文化理解」を主題としてプログラム実行委員長を務めることが正式決定したことは本研究の成果の発展を国際的に示す意義をもつ。業績としてアメリカ、ヨーロッパの編者による英語共著3本を出版(決定)し、審査査読付き英語論文3本を出版(決定)した。 研究期間全体を通じて、「<他>文化理解思想」を研究手法として実践することの成果として、海外共同研究者スタンディッシュ氏との国際連携および日本のアメリカ哲学、京都学派の哲学の研究者とも協力しつつアメリカ、ヨーロッパの研究者と教育と哲学の学際的国際的対話のネットワーク構築を推進した。平成26年度には本科研費の3年間の研究成果としてヘルシンキ大学より40,000ユーロの研究経費つきで客員研究員に招聘された。これにより最終年度はフィンランド、スウェーデン、北欧研究者とのアメリカ哲学の文化横断的対話関係も新たに発展した。業績として4年間に英語共著3冊、英語編著2冊、翻訳書1冊,査読付英語論文9本(うち1本は受賞論文)を出版し本研究の国際的知名度を高めるにいたった。
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