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2012 年度 実施状況報告書

地域主権時代の公共劇場を担う人材育成~キャリア形成実態調査を基盤として

研究課題

研究課題/領域番号 23531008
研究機関鳥取大学

研究代表者

五島 朋子  鳥取大学, 地域学部, 准教授 (80403369)

キーワードアートマネジメント
研究概要

本年度は、主に以下の2つを柱に調査研究を行った。1. 初年度末に実施した全国公立文化施設職員へのキャリアパスに関する質問紙調査のとりまとめ 2.アメリカにおけるリージョナルシアターの地域コミュニティにおける活動状況とそれを支える人材に関する調査
1.公立文化施設職員への質問紙調査は、全国から2,522件の回答を得ることができた。集計・分析の結果から、人材の雇用状況に関して、世代構成、性別、学歴等において、都市部と小規模自治体の間に格差が存在すること、また、自治体直営施設と指定管理者施設では、職員のモチベーションや仕事満足度などにおいて、明らかな差が存在すること、そして舞台技術職以外には、明確なキャリアパスを見いだすことができない、といったことが明らかになった。また、職員が考える公立文化施設職員の専門性認識には、舞台芸術を提供する「劇場マネジメント」、地域の多様な課題へ向かう「地域マネジメント」という二つの方向性があることが見いだされた。施設が立地する地域特性や地域における役割に応じて、この2方向性を適切に調和させて行くこと、また職員研修や既存のアートマネジメント教育に取り入れて行くことが示唆される。
2.アメリカのリージョナルシアターの調査からは、非営利組織が多様な資金をきめ細やかに開拓しながら、観客に支えられる劇場運営を発展させてきたことが確認できた。しかし一方で、ステークホルダーが明確な、劇場と支援者の濃密な関係性は、舞台作品の革新性においては、ネガティブな影響を与えていることが伺えた。また、地域社会の具体的な課題(移民、性的マイノリティ、貧困など)解決に、劇場のミッションとしてとりくむコミュニティ・シアターが、地域社会で存在感を増していること、事業展開には、地域コミュニティの多様な団体とパートナーシップを構築していることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

公立文化施設職員を対象としたキャリアパス調査の分析が概ね終了し、公立文化施設職員の学歴、職歴などの個人的な背景と、雇用状況の実態が把握できた。また、地域における公共的な劇場のあり方のひとつとして、アメリカのリージョナルシアターとコミュニティシアターの実態を調査し、地方都市における劇場の社会的役割、またそのような劇場を担う専門人材像とその獲得すべき能力について考察を深めることができた。

今後の研究の推進方策

コミュニティの課題解決を使命とするアメリカの非営利コミュニティ・シアターは、日本での取組事例は少ないが、今後劇場の社会的役割を考えて行く上で、重要な参照事例になると考えられる。また、そのような劇場の事業や活動を支えて行く人材育成が、とりわけ、地方都市や中山間地の公立文化施設では求められるであろう。
今年度は、全国質問紙調査の内、職務経験を通して身につけた専門知識に関する分析の残作業を終わらせ、国内先進事例劇場の運営を担うスタッフへの聞き取り調査をとりまとめ、前年度までに得られた知見とあわせて、今後の地域劇場に求められる人材像を地域特性や施設規模を踏まえながら類型化し、そのような専門人材を育成するための教育プログラムや教育機関のあり方について考察する。
また、全国質問紙調査については、主な集計結果をホームページにて公開する。

次年度の研究費の使用計画

昨年度中、アメリカにおける課題解決型のコミュニティ・シアターの追加調査を行うことを検討したが、劇場がコミュニティで実施する事業スケジュールと折り合わず、追加調査を見送った。今年度、研究の成果を一部発表する国際学会とあわせて、コミュニティ・シアターの追加調査を実施し、「地域マネジメント」を志向する専門人材育成のための教育プログラムについての示唆を得る。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 地域の公立文化 施設に求められる専門人材に関する考察2012

    • 著者名/発表者名
      五島朋子
    • 学会等名
      日本アートマネジメント学会
    • 発表場所
      神戸市立灘区民ホール
    • 年月日
      20121201-20121201

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公開日: 2014-07-24  

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