本研究は、フンボルトが妻カロリーネと交わした「愛の書簡」を研究対象として、彼らの日常的な「愛」の実践と思想が、彼の「教養」理念形成にいかなる影響を与えたのか解明した。 まず当時における「書簡」メディアの果たした役割について明らかにした。「書簡」というメディアを使って、自らの徳を育てようとするブント(育徳同盟)に彼らは参加しながら互いの関係を親密にしていったこと、また書簡は、他者が学びうる学習教材としての価値があるとみなされ、そのため内面や秘密を打ち明けるという苦悩に直面せざるを得なかったことなどが明らかになった。 なお最終年度にはドイツ教育学会の陶冶・教育哲学委員会年次大会で成果発表した。
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