本研究の目的は、1920年代から沖縄戦をはさむ20年代までの時期を対象に、沖縄に生きた小学校教員(以下、教員として略記)の職歴について、その量的及び質的な変化の過程を実証的に解明することとして設定された。沖縄戦という未曽有の歴史的経験をはさみ、沖縄の教員はどのような職歴上の変遷をたどったのか。本研究では、これまで未着手であった、沖縄戦をはさんだ教育史的な「連続性」を分析するために必需の基礎的データの構築を図る。その結果、以下の研究成果を公表した。①研究代表者編『沖縄の教師像―数量・組織・個体の近代史』榕樹書林、2014年3月、全435頁、②同ほか「復刻版『沖縄教育』にかかわる補遺、ならびに若干の修訂」(共同執筆)『復刻版 沖縄教育』第37巻、不二出版、2012年5月、1―12頁、③同「近代沖縄における研究訓導制度史の研究―その運営過程と効果に注目して」(単著)『教育制度学研究』所収、日本教育制度学会、第19号、2012年11月、184―197頁、④「九州沖縄八県連合教育会の研究―通史的展望からみた組織的性質の解明」(単著)『日本教育史研究』第32号所収、日本教育史研究会、2013年11月、103―120頁、⑤同ほか「追補遺 あらたに見出された『沖縄教育』に関する解説、ならびに総目次と附表にかかわる補遺」(共同執筆)『復刻版 沖縄教育』第38巻、不二出版、2013年12月、1―11頁。このうち①は沖縄教員史の量的及び質的な変化の過程を解明した。②と⑤はいずれも主たる史料とした沖縄(県)教育会機関誌『沖縄教育』のあらたな書誌的解明を内容とした。③と④は沖縄教員史の事例的研究として、成果の一端を公表した。以上をふまえ、本研究の最終的な成果は、研究代表者編『沖縄教員史の移行過程』(仮題)として2015年に公表する予定である。
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