研究課題/領域番号 |
23531018
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
松浦 勉 八戸工業大学, 工学部, 教授 (30382584)
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研究分担者 |
佐藤 広美 東京家政学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20205959)
一盛 真 鳥取大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90324996)
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キーワード | 戦争責任 / 戦争犯罪 / 戦争教育学 / 植民地主義 / 戦争と教育 / 戦後教育学 |
研究概要 |
2012年度は前年度の研究の成果をふまえ、研究代表者である松浦と研究分担者の佐藤広美、一盛真の3名は、下記の研究課題にとりくみ、一定の具体的な成果をあげることができた。 松浦は、これまで個別の実証的な研究を欠落させたまま高く評価されてきた「教育史家」海後宗臣の、中国に対する植民地主義の占領地教育構想を検討した成果を発表することができた。ただし、これは日中戦争の全面化から長期持久戦段階までを対象化したもので、東南アジア全域を対象としたアジア・太平洋戦争=「大東亜共栄圏」建設段階の海後の構想については、別稿を準備しているところである。 分担研究者の佐藤広美は、「戦後教育学」の意義と限界を本格的に追究する視角から勝田守一の思想形成とのかかわりでその教育学を検討した成果を発表した。 同一盛真は、具体的な成果として発表するまでにはいたっていないが、次の4つのテーマで史料収集と原稿執筆の準備をすすめている。1.沖縄と教育、2.海後勝雄論、3.北原泰作論、4.山住正己論。1.については、論考「4・28とモラル|―沖縄から―」として教育科学研究会誌『教育』2013年9月号に掲載予定である。 今年度も教育史学の世界の中でだけでなく、隣接する歴史諸科学との対話を通じて共同研究を継続してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3名の研究代表者と分担研究者の間で、やや進展の度合いが異なっている。 分担研究者の佐藤広美は着実に成果をあげているが、研究代表者の松浦と分担研究者の一盛は必ずしも当初予定していた具体的な成果を発表するまでに至っていない。それにはいくつかの事由が考えられるが、なによりも松浦と一盛真には家庭の事情が加わり、この間週末の長距離移動をともなう二重生活をしいられていたことが大きい。 もちろん、具体的な成果につながる個別の研究活動は地道に行われている。最終年度には個別実証研究の成果に反映されるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になる2013年度は、報告書の作成に向けて3年間の共同研究を総仕上げする年度である。 松浦は海後宗臣の教育学の戦中と戦後をトータルに検討し、具体的な成果をまとめるとともに、課題として残してきた長田新の戦中と戦後の思想的な旋回と研究の展開を追究し、成果として発表したい。 佐藤広美は、現在刊行中の教育科学研究会編の講座本の別巻に掲載予定の論考「戦後教育学における〈戦争と教育〉」を中心にして当初の課題を追究する。 一盛真は、前記の4つの研究テーマにかかわる具体的な成果を順次発表していくことになる。 なお、最終年度も聞き取り調査を実施する。2度目の恵那調査(新田鉦三さんへの聞き取り)と太田堯さん(元日本教育学会会長、埼玉県在住)への聞き取り調査である。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度となる次年度は、約1,600,000円余の研究費を、研究の進捗状況との関連で必要な史料や文献を収集・購入するとともに、聞き取り調査と3名の問題意識の共有に資する共通の先行文献の購入などに充当し、報告書の作成をスムーズに行いたい。
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