研究成果の概要 |
本研究は、フランス第三共和制期における政教分離問題、所謂「ライシテ」を発端とした道徳教育論争の詳細を解明したものである。ライシテ関連法成立(1881年,1882年,1886年)に伴い、宗教教育を排除したライックな道徳教育論が多数輩出していたが、その詳細は不明であった。研究の結果、ライシテ下の反教権主義・共和主義派の道徳教育論(ライックな道徳教育論)には、デュルケームのモラルサイエンスの系譜(無神論的な立場)と一般教養(当時のリベラルアーツ的なもの)や教訓的な言説によって構成された自己修養論的な道徳論(必ずしも無神論ではない)との二つの系譜が存在したことが解明された。
|