研究課題/領域番号 |
23531021
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
太田 和男 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (40269428)
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研究分担者 |
那須 幸雄 文教大学, 国際学部, 教授 (40208070)
千葉 隆一 文京学院短期大学, 英語キャリア科, 教授 (70461803)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 観光インターンシップ 米国、英国、ドイツ、日本 |
研究概要 |
研究目的は、観光分野におけるインターンシップが、人材育成に与える効果に関する仮説の妥当性とその説明要因を、米英独日について一般の就業体験型実習と対比しつつ検証し、秀逸なインターンシップ推進モデルを提示することにある。そのために仮説として、観光インターンシップは、一般体験型に比べ、(1)専門職業人養成の一環であることに加えて、(2)長期型、(3)国際型という特質を備えている場合、有効性が高いことを検証する。先ず、平成23年度には、米国でのインタビュー調査は、セントラルフロリダ大学ホスピタリティ・マネジメント・ローゼンカレッジ、コーネル大学ホスピタリティ・マネジメント校、ヒューストン大学コンラッド N. ヒルトン校や英独の大学について実施した。さらに米、独、英国の観光系学生を対象にインタビュー調査を、また日米のホテルに対しアンケート調査を実施した。この結果、(1)観光インターンシップ期間は、米国が3か月、独逸が3~6か月、英国が1-3か月が最も多く、日本のそれよりも長期であることがわかった。この観光インターンシップという専門職型インターンシップについては、日本でも企業側もメリットを認めるのは、3か月の長期インターンシップであることが明確になった。(2)米国、独逸、英国の観光インターンシップは就職を前提としており、その観光インターンシップ先への就職率は米国で31~50%、独逸では、インターンシップ参加者の三分の二が企業の採用に応募しその50%が合格していることなどが明らかになった。結局、観光・ホスピタリティ・マネジメント系などの専門性の高い課程の学生については、長期のインターンシップが有効であることが明確になった。この結果、観光インターンシップが一般体験型に比べ、有効である要因と考えられる3つの仮説のうち、すでに2つの仮説、すなわち専門職型、長期型がその有効性を強めていることが立証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.初年度の調査研究は、研究成果を出しつつ、本格的な調査を2年目以降に展開するに当たり、その研究効率を高めるため、インタビュー先、インタビュー内容、インタビュー方法、さらにはアンケートの調査質問項目の妥当性を検証する予備調査的側面があった。その結果は、これらの目的をおおむね達成するものであったと自己評価できる。2.すなわち、米国のホスピタリティ・マネジメント専攻の大学生や米国の観光学科を有するコーネル大学、セントラルフロリダ大学、ヒューストン大学、英独の観光系学部を有する大学へのインタビュー調査、独逸、英国などの観光インターンシップ履修学生対象のインタビュー調査やアンケート調査の成果は、立証予定の三つの仮説のうち二つまでをほぼクリアするなど予想以上に順調であったからである。3.しかし、半構造化面接の実施や、アンケートの回収、統計処理にやや遅れがみられ,2年目にその効率的実施が要請されるからである。しかし、それらは、軽微な課題であり、初年度の大きな成果を考えれば、おおむね順調に進行していると自己評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
米英独の大学観光系学部、英独日のホテル、さらには、面会可能な調査対象地域の航空会社、旅行社などにインタビュー調査またはアンケート調査を実施し、観光インターンシップが一般の就業体験型に比べ、その専門性や、それを高める期間、国際性などの面で、観光業に従事する場合、キャリア形成上優位にたつことをさらに綿密に調査、研究する。 アンケート調査の回収率向上のため、アンケート対象先の一部について、可能な範囲内で、電話により担当者の特定を一層進め、また督促状などを送付すると同時に、部分的にインタビューを併用し、実質的なアンケート回収率向上とインタビュー調査の充実を図る。 アンケート調査の統計処理を推進するとともに、半構造化面接を実施、修正版グラウンデッド・セオリーアプローチにより検証する。 一般的な体験型インターンシップに比べて、特に国をこえて行う国際型観光インターンシップがキャリア形成に有効であるとことを日本、独逸、英国について検証し、キャリア育成効果の高い観光インターンシップモデルを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.キャリア形成上、観光インターンシップは一般体験型に比べ、専門職、長期、国際という特質を有する場合、特に有効であることを、米国、英国、独逸、日本のホテルや航空会社、旅行業者、大学の観光系学科、観光系学生について、インタビュー調査により実証する。このための旅費、謝金に使用する。2.引き続き内外のホテルや航空、旅行社向けに最大で200通程度のアンケート調査票を発送し、統計処理するための費用に充当する。3.半構造化面接を実施し、修正版グラウンデッド・セオリーアプローチによる検証をするための謝金や旅費などに使用する。4.ホームページを作成し、研究成果を公表する費用に充当する。
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