研究課題
乳幼児、児童、保育者・教員養成課程の学生の音・音楽を介した表現を観察すること(フィールドワーク)を通して、創造性について問い直すことから始め、「創造性を育む音楽づくりの教育プログラムを開発すること」が本研究の目的であった。最終年度である本年度は、これまでと同様にこども園や幼稚園でのワークショップを継続するとともに、これまでの成果を集大成し、テキストとして出版する準備を進めた。テキストは、本教育プログラムの提案・発表媒体となるもので、「現職の保育者・教員および保育者・教員養成課程の学生を対象とした音楽教育テキスト」という位置づけである。当初、「創造性を育む音楽づくりの教育プログラム」を単独で提示するテキストを予定していたが、音楽づくりの領域のみならず、「声について(歌唱の領域)」「モノとかかわる身体について(器楽の領域)」「耳について(鑑賞の領域)」など、音楽することにかかわる問題を広く扱うテキストの出版を目指すこととなった。本研究の成果は、その中の「創造性について(音楽づくりの領域)」のパートにおいて発表されることとなる。1.音楽づくりにおける創造性は、乳幼児期の経験からの連続として捉えられる2.音楽づくりにおける創造性は、成果物ではなくプロセスにこそ見い出されるものであり、かつ、プロセスでこそ育まれるという仮説によって本研究は始められた。2.について、「モノ・音とかかわり探究するプロセス」「他者とかかわり協働するプロセス」「制約を手がかりとして試行錯誤、工夫するプロセス」において創造性が発揮され、かつ創造的な活動が促進されることが明らかになった点が、本研究の中心的な成果である。
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