研究課題/領域番号 |
23531027
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
高橋 陽一 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (70299957)
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キーワード | 国学 / 教科書 / 伝統文化 / 歴史 / 道徳 / 万国博覧会 / アメリカ |
研究概要 |
2012(平成24)年度(第2年度)は、初年度から研究対象とした近代の国学者に加えて、近世の国学者や漢学者、古事記・日本書紀の解釈家などに対象を広げて調査をした。また、大学等の学問形成と初等教科書をつなぐ中等教育教科書、万国博覧会日本紹介冊子などにも資料収集と調査を広げ、明治期の中学校や高等女学校の修身科や倫理学書なども対象とした。 研究の遂行に当たっては計画通りに昨年度より研究会を組織して、大学での研究会又は資料回覧等により各分野の専門家の知見を求めた。研究会には、伊東毅(武蔵野美術大学)、駒込武(京都大学)、竹内久顕(東京女子大学)、田口和人(桐生大学)、小幡啓靖(社団法人実践倫理宏正会)、小川智瑞恵(東京大学史史料室)、田中千賀子(武蔵野美術大学非常勤講師)、小澤啓(武蔵野美術大学造形研究センター・リサーチフェロー)、斎藤知明(大正大学非常勤講師)の9名が参加し、田中千賀子が研究協力者として資料整理などを補助した。 第2年度の研究発表としては、予定した『日本教育史学会紀要』第3巻の掲載論文「日本書紀一書の残賊の神勅―孟子と国学をめぐる解釈史」を発表した。また研究成果に基づいて、大谷大学における大学の学問形成についての講演「明治期の宗教教育における国家と学問と建学の精神」、学生向け教科書『教育通義』において、本研究の成果に生かした発表や記述を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定通りの資料収集と調査を進め、『日本教育史学会紀要』等の成果発表を行うことができた。本研究の焦点となる学問形成論については、日本歴史の伝統的研究対象である日本書紀のうち、「残賊の神勅」という未解明の部分について解釈史を明らかにできたことは、当初の解明予定の課題を超える成果であった。また、国学との関係で、儒学や仏教学との関係も視野に入れた研究を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
第3年度は、前年度までの対象人物に加えて、初等・中等レベルの教科書編纂と学問形成という大きな枠組みで全体像を描くまとめの段階へと研究を進める。このため、口頭及び論文による研究発表を行う。 また、明治期の国語国文学や修身科などに影響をあたえる人物として、近世以来の国学者とは異なり、近代学校で教育を受けた近代国学の第2世代と言うべき落合直文や小中村義象らにも対象を広げる。
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次年度の研究費の使用計画 |
書籍の購入と文献複写による調査と、研究成果発表のために研究費を効率的に使用する。海外資料調査については、国内の資料を超える史料的発見が望めないために見合わせているが、必要な場合は効率的に実施する。
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