研究課題/領域番号 |
23531030
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
林 徳治 立命館大学, 教育開発推進機構, 教授 (50228582)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コミュニケーション能力 / 参画型授業 / 主体性 / アクティブラーニング / 協調学習 / PDCA |
研究概要 |
本研究は、大学生のコミュニケーション能力育成を図るための学習モジュールの開発および学習意欲や態度など主体性に関わる評価指標や方法について開発し検証する実証研究である。コミュニケーション学習の成果は、単年度調査ではなく対象者を追跡調査することにより、大学生の学習活動全般を通して他教科での知識理解の認知領域や意欲など主体性に関わる情意領域に及ぼす効果や影響について検証を行う。平成23年度(初年度)は、先に遂行した2つの先行研究を基盤としてコミュニケーション能力の諸要素を決定し学習モジュールを作成した。学習モジュールは、コミュニケーション能力を(1)相手の情報を受け入れる能力、(2)自分の情報を伝える能力、(3)論理的に考え提案する能力、の3つに大別しこれら能力を育成するプロトタイプとした。さらに、作成した学習モジュールにより現行のシラバスに準拠し、林(代表者)が担当するコミュニケーション関連の授業(情報通信社会における人間のコミュニケーション活動、プレゼンテーション概論、アカデミック・スキルズ、情報教育概論)において予備授業を実施した。具体的な内容は、コミュニケーション能力の要素に関する知識理解面での認知領域、意欲など情意領域、授業毎の課題レポート(知識理解、論理的思考)、全体への発表活動(表現・伝達)、授業中にケータイやパソコンを利用したメールによる学生の発信活動(表現・伝達、主体性)、その他学習意欲などに関するアンケートを実施した。また、自学自習を支援するツールとしてコミュニケーション実践のためのディジタルのWeb教材(http://www.td-ict.jp/)、本研究用として作成した授業Webコンテンツ(http://hayashi-jyugyou.digiweb.jp/)を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学生を対象とした前述の予備授業を通して、コミュニケーション能力に関する知識理解および意欲関心についての成果はおおむね順調に進展している。知識理解については、学習後に行う総括評価として知識理解度を測る試験において、予備授業のいずれのクラスも約7割の正答率を得る結果であった。意欲関心など主体性に関する評価では、学習毎に行った学習診断(学習ポートフォリオ)の分析や精査、学習後に作成したレポート(活動報告書)の分析や精査を通して学習前後を比較した結果より正の変容が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の予備授業の結果を精査し、学習モジュールの改善や評価について検討し次年度のDo(授業実施)へ進める。具体的には、予備授業において教育効果が認められた学習モジュールによる授業の実施を行う。また、授業結果を踏まえて学習モジュールおよび教育方法の改善にあたる。学習対象者は、学部・学年を問わず抽出した学生および平成23年度に実施した同一科目(情報通信社会における人間のコミュニケーション活動、プレゼンテーション概論、アカデミック・スキルズ、情報教育概論)で実施し検証を行う。また、授業の履修者について授業終了後も追跡し、他教科での学習活動の変容や次年度の科目履修状況、GPA(Grade Point Average)の変容など可能な限り追跡調査を実施する予定である。さらに、本研究遂行のために本学の有志からなる研究会(学習科学研究会、http://lsa-j.org/)を発足させた。研究会の学生による協力を得て、本研究の主たるテーマである主体性の育成をめざした協調学習のあり方について実践研究を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費については、教材評価や研究授業の外部評価者および授業録画・記録、アンケート・ポートフォリオデータ処理の補助者に対する謝金を必要とする。旅費については、研究代表者、連携研究者、研究協力者の学会年回への参加に必要である。その他の費用については、外部評価者を招いての研究会開催および報告会議の開催を予定している。
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