研究課題/領域番号 |
23531030
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
林 徳治 立命館大学, 教育開発推進機構, 教授 (50228582)
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キーワード | コミュニケーション能力 / 学習の主体性 / 学習モジュール / 協調学習 / 包括的学修支援 |
研究概要 |
本研究は、大学生のコミュニケーション能力の育成を図るための学習モジュールを開発する。また、学習意欲や態度などの学修に関わる主体性を評価し、その評価指標及び改善方法について検証する実証研究である。 平成24年度は、平成23年度に開発したコミュニケーション能力育成のための学習モジュールを林(代表者)が担当するコミュニケーションに関わる授業(教養ゼミナール「情報通信社会における人間のコミュニケーション活動」、学校教育演習(通年)、アスリートのためのアカデミックスキルズ、プレゼンテーション概論)において実施した。また、各学習モジュールの実施に合わせて、SNSであるFacebookを活用した協調学習や教育サポーター(Educational Supporter=ES)の活用という包括的学修支援を行った。学修の主体性に及ぼした効果を検証するために、学習者の学修の情意的領域かつ生活及び学修環境に関してアンケート調査を実施した。 アンケートの調査結果及び分析結果より、協調学習においては各グループ内の学習者間に目的のために協働して学修を進めようとする貢献意欲及び達成動機の向上に繋がることがわかった。これは、教育サポーターの適切な活用が、グループ演習等の促進や噛み合わせに効果を発揮し、一つの要因となっていることが考えられる。さらに、自己の学修が他の学習者から認められ協調して行動したいという親和動機の向上に繋がることがわかった。 さらに協調学習や包括的学修支援により、開発したコミュニケーション能力育成の学習モジュールをより効果に実施することが可能となり、より学習者のコミュニケーション能力を高めた。その結果、学習者の学修の始発性や統制感、達成感を充実させ、ひいては学修の主体的な意欲という主体性向上への足場かけに有効性が見出せた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発した学習モジュールを実施した各授業における学修の情意的領域かつ生活及び学修環境に関する調査結果や分析結果より、本研究の目的である学修の主体性に及ぼす影響に関する学習の達成度や意欲など有益な知見を得られた。また、学習モジュールの実施に合わせて協調学習及び包括的学習支援を適切に行うことによる学修の主体性向上に繋がる有意な実証結果が得られた。以上より、本研究の達成度としては概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
実証結果より得られた学修の主体性向上に繋がる有意なデータに関して、さらに分析及び考察を進める。それにより、学習者集団の差異による学修の主体性や個々の学習者の学修の主体性への影響を究明する。 また、コミュニケーション能力の改善によって獲得した概念的理解や知識といった学修の質的な部分においての分析及び評価を行い、学修の主体性との関連を探究する。 これらより、学修の主体性向上へ向けた教育的処遇や学修方法、学修環境等の在り方や指導モデルに関して汎用性に繋がる実証研究の成果をまとめ提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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