本研究は、大学の教養教育において林らが開発した学習モジュールを実践し、大学生のコミュニケーション能力の改善による学修に関する主体性の獲得や向上を目的とした実証研究である。 3年計画の最終年度では、通年型カリキュラムの教職課程履修者を対象としたコミュニケーション能力の改善による主体性への影響や効果について検証を行った。前期授業では、開発したコミュニケーション能力に関する学習モジュールをアクティブラーニング型の協調学習にて実施し、教師に必要な教育的なコミュニケーション能力の向上を図った。後期授業では、前期に学習した教育的なコミュニケーションに関する内容を活かしてマイクロティーチングを行った。その結果、履修者に表れた学修に関する主体性への影響や効果について検証を行った。 本研究では、学修の主体性に及ぼす影響や効果を検証するために、前期・後期に、計3種類のアンケートの実施及びSNSを活用した授業用Facebookグループにおける投稿等の調査をした。(1)学習者の情意的領域を測定する質問紙調査、(2)学習者の生活及び学修環境に関する質問紙調査、(3)学習したコミュニケーションに関する能力や技法の授業外活動への有用性や個の変容・気づきについての質問紙調査。特にSNSを学修へ活用する機能的学習環境においては、多彩な学修の交流及び状況が把握できた。協調学習による様々な認知プロセスは、自己の概念的理解の促進や独自の解の構築・深化が出来る一方で、貢献意欲や親和動機等の向上に効果的であった。
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