研究課題/領域番号 |
23531033
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
今井 航 別府大学, 文学部, 准教授 (20432700)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育学 / 教育史 / 中国 / 地方教育行政改革 / 教育庁 / 六・三・三制 |
研究概要 |
本研究の目的は、中華民国北京政府期における地方教育行政改革のもつ意義を明らかにし、この改革により各省に設置が促された地方教育庁が同時期に導入された六・三・三制の実施、展開にどのような役割を果たしたのかを明らかにすることにある。 当時の地方教育庁に関する記述は、熊賢君『中国教育行政史』(華中理工大学出版社、1996年1月)や于述勝『中国教育制度通史』第七巻民国時期(公元一九一二~一九四九年)(山東教育出版社、2000年8月)など通史的な研究成果により見ることが可能であるが、それが当時の六・三・三制の実施、展開にどのような役割を果たしたのかといった問いかけに答えるものとはなっていない。 そこで、平成23年度では、先行研究の調査、入手、熟読を通じて問題の所在を明確にすることが目指された。 国立国会図書館関西館で邵鳴九編『地方教育行政』商務印書館や、或いは曾毅夫編『地方教育行政』商務印書館が見つかり、両方とも複写を部分的に入手することができた。両方とも同時代的な書物であり、中では当時の地方教育庁に関する基本的な記述が見られた。ただし劣化が著しくこれ以上の複写は難しいとのことである。今後も当該館に足を運び、直接に目を通さなければならない。 一方で、この時期の中国近代史研究に目を通す必要があるとの判断から、金子肇『近代中国の中央と地方』(汲古書院、2008年3月)や、或いは黄東蘭『近代中国の地方自治と明治日本』(汲古書院、2005年2月)をはじめ、『二十世紀中国の社会システム』や『20世紀中国史』などの文献を購入した。当時の地方教育行政を捉えるための有意義な視座が得られると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度では、先行研究の調査、入手、熟読を通じて問題の所在を明確にすることが目指されたが、入手は進んだものの、網羅的な調査ができたかと言えばそうでもない。東方書店やCNKIを活用した調査、入手も進める予定であったが、平成23年度中に行うことができなかった。平成24年度中となる見込みである。また、熟読も進んでいない。当時の地方教育行政改革や、その結果設置された各省教育庁のことが先行研究ではどの程度まで述べられているのか。その整理、確認も平成24年度中となる見込みである。以上のことから、やや遅れていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度では、新しい知見を得るため、8月中もしくは9月中に本研究課題に関する史料調査を中国上海図書館で実施する予定である。それまでには、先行研究の網羅的な調査を終えておきたい。調査を終えていれば、中国滞在中に先行研究の入手を含めた調査日程を組むことが考えられる。先行研究の入手も含めた諸資料の調査、入手を現地で進めることが、本研究課題を推進する上で必要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の計画では、中国の中国近代教育史関係図書の購入に20千円を計上している。上海で資料調査・収集を実施することにしており、これに合わせて上海の書店での購入を想定している。この場合、中国での購入となるため1冊あたり1千円とし20冊の購入を予定している。これ以外にも以下のような計画を立てている。・東京での資料調査・収集(24年度4日間)→東京別府往復40千円、宿泊費30千円(一泊10千円×3泊分)、日当16千円(一日4千円×4日分)・史料調査報告(24年度3日間)→東京別府往復40千円、宿泊費20千円(一泊10千円×2泊分)、日当12千円(一日4千円×3日分)・上海での資料調査・収集(24年度8日間)→福岡上海往復50千円、宿泊費70千円(一泊10千円×7泊分)、日当32千円(一日4千円×8日分)
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