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2012 年度 実施状況報告書

近代日本における民間を中心とした国際教育交流の拡大に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 23531034
研究機関北陸学院大学

研究代表者

辻 直人  北陸学院大学, その他部局等, 准教授 (70523679)

キーワード日本人留学生 / 日米教育関係 / 日独教育関係 / 私学派遣留学生
研究概要

当該年度はアメリカとドイツにおいての海外史料調査および国内史料調査、調査結果報告のための研究会参加といった活動を実施した。史料調査においては、現地に行かなければ見られない史料を多く閲覧することができ、とても有意義な調査となった。
アメリカ調査に関しては、東海岸の三大学を訪問し、関係史料の有無、保管状況、内容の確認を行った。具体的には、コロンビア大学、エール大学、ハーバード大学である。コロンビア大学では主として同窓会史料より日本人と思われる人物を検索した。エール大学には戦前私費でアメリカ留学を果たし、同大学教授も務めた朝河貫一に関する文書が多数保管されている。その中に「エール大学日本学生名簿」が残っている。これは、1870年から1937年までの合計286人の情報が記載された貴重な名簿である。ハーバード大学には日本人留学生たちが組織したHarvard Japan Clubの史料を閲覧できた。前年度の調査と合わせて、戦前の日本人アメリカ留学生の実態の一端を浮かび上がらせる史料の確認ができた。
ドイツ調査では、ベルリン、ミュンヘン、ハイデルベルクの各大学関係機関を訪問し、アメリカ同様日本人留学生に関するどのような史料が保管されているか確認した。ドイツの場合、ベルリン・フンボルト大学に関しては既に日本人留学生に関する先行調査が存在するため、その他の関係機関であるベルリン独日協会、フンボルト大学付属機関である森鴎外記念館を訪問し、情報の交換を行った。ミュンヘン大学では戦前の学籍登録名簿より日本人の確認を行った。フンボルト大学では、日本学研究のザイフェルト教授との交流および資料室での日本人留学生の学籍登録に際し提出した書類の閲覧を行った。
2月にはアメリカ・エール大学での調査を中心に研究発表も行った。国内調査は昨年度に引き続き、慶應義塾の史料を中心に閲覧した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国内外の史料調査に関しては、おおむね予定通りに進んでおり、やはり現地でしか確認できない史料、特に今まで存在をあまり知られていなかった貴重な文書などを見つけることができた点は大きな収穫である。中でも、アメリカでの20世紀初頭の日本人留学生たちの動向について、今まで知られていなかった面が2年間にわたる6大学での調査で明らかになる見通しがついたことは、大きな前進であった。具体的には、個々の大学に留学していた日本人集団の動きだけでなく、全米各地の留学生同士が連携を取り合っていた様子が見えてきた点は、今回の調査の大きな成果である。逆に、ドイツに関してはアメリカと対照的に、そう言った留学生同士の横の連携が形成された形跡がないことも現地調査によって明らかになった。両者の違いは何故生じたのか、その理由を解明することが今後の課題である。
国内調査に関しては、昨年度より引き続き実施していた慶應義塾より派遣された留学生に関する史料調査を実施し、大正期の史料閲覧を終えることができた。中でも、大正15年にはロックフェラー財団からの奨学金により、慶應病院看護婦2名がアメリカに留学生として2年間派遣されることが決定していたことも分かった。慶應義塾からの女性留学生派遣はこれが初めてである。彼女たちはエール大学に留学しており、アメリカ調査で閲覧した「エール大学日本学生名簿」より、留学後の動向をつかむことができた。
十分にできなかった点としては、調査より得られた成果を論文等としてまとめていく作業が挙げられるので、次年度の課題としたい。

今後の研究の推進方策

当初の計画では、次年度はあと1回ヨーロッパにおける調査を予定している。なるべく早い段階に実施したい。予定ではフランスを計画してはいるが、しかし、前回のドイツ調査が思いの外不十分と感じており、もう一度訪問して継続調査を実施することも考えられる。しかし、おおよその保管史料状況については把握できたと考えれば、やはり次年度は当初計画の通りフランスを中心とした調査を実施すべきと考えており、早急に計画を立てたい。
次年度は計画の最終年度であり、これまでに集まった史料を改めて整理した上で、学会等での研究発表や論文としての雑誌投稿を計画している。今までの教育交流史では明らかにされていなかったアメリカ留学生の実態など、新発見も今回の調査で得られたので、こうした成果を社会に報告していく。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費使用計画について、第1に、海外史料調査のための渡航費、滞在費、史料複写代、調査協力者への謝礼などとして使用する。今回はフランス渡航の予定であり、時期は夏頃になると考えている。
第2に、国内史料調査出張も数度継続して実施するつもりであるので、そのための交通費、史料複写代としても使用する。
第3に、調査結果報告のための学会、研究会参加費も数回検討している。
第4に、調査結果をまとめた報告書の作成費としての使用も計画している。

研究成果

(1件)

すべて その他

すべて 学会発表

  • [学会発表] 日米教育文化交流史における朝河貫一の役割

    • 著者名/発表者名
      辻 直人
    • 学会等名
      朝河貫一研究会
    • 発表場所
      早稲田大学大学院アジア太平洋研究科19号館7階713号室

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公開日: 2014-07-24  

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