研究課題/領域番号 |
23531034
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研究機関 | 北陸学院大学 |
研究代表者 |
辻 直人 北陸学院大学, その他部局等, 准教授 (70523679)
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キーワード | 日本人留学生 / フランス留学 / ドイツ留学 / アメリカ留学 |
研究概要 |
海外史料調査を当初の予定通り実施し、8月にフランス公文書館及びストラスブール大学、バラン県文書館で史料調査を行った。近代日本における留学先として、特に官費留学の場合ドイツに次いでイギリスとフランスが多く選ばれていたので、フランス高等教育機関の登録者名簿に日本人留学生がどれほど載っているのか確認した。 ドイツでは、各大学が年度ごとに年鑑を発行しており、在籍学生名簿も掲載されているケースも多く、それらの名簿を基礎史料とした研究も実際にあるので、フランスの場合も同様のケースを想定し調査を実施した。フランス留学の場合はパリ大学(ソルボンヌ)に多数在籍していたことが予想され、またストラスブールもドイツ領時代に多数の日本人が実際留学していたので、今回の調査でも留学生たちの記録が多く見つかると期待していた。多数ところが、実際に調査を行ったところ、1920年代30年代の史料を中心に閲覧したのだが、ほとんど日本人の名前は出てこなかった。却って戦後1950年代の方が、多数の日本人留学生記録が存在した。これは1920~30年代のフランス留学の場合、大学に籍を置いた留学ではなく、一時的に研究のために立ち寄った形態が多かったからと考えられる。また、1931年にフランス政府が日本から留学生に来てもらうために政府給付留学生制度を開始した背景には、実際当時フランスにじっくり腰を据えて留学した日本人は少なかったということであろう。ストラスブール市内のバラン県文書館にはドイツ時代の学籍名簿が保管されていたが、こちらは当時の独特な字体で解読に時間がかかり、滞在期間中に全ての確認ができなかったので、今後再調査をしたい。 国内史料調査による成果については、慶應義塾派遣留学生の動向について研究ノートとしてまとめ、またアメリカ調査の成果は日本教育学会にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外史料調査は予定通りアメリカ2回、ドイツ1回、フランス1回と進めることができた。また、私学からの留学生派遣についても、慶應義塾からの派遣留学生に関する調査を一通り終え、その調査結果を研究ノートとしてまとめ公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査で、本研究に関する史料がアメリカの諸大学に存在することが分かった。今年度は、再度アメリカでの調査を敢行して今までの調査内容を補完すると共に、収集した史料の整理と活用の不十分な点を克服した上で、最終年度として論文ないし報告書として成果をまとめていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初見込んでいた旅費が予想よりも安く済んだ。また、海外での調査ではデジタルカメラで史料の撮影が許可されたり、史料をスキャンしてUSBメモリへデータとして読み込むことが可能であったりした。しかもこれらの作業はほぼ無料であった。近年は史料によってはウェブで公開しているものもあり、自由に閲覧可能の場合もあった。以上のような状況から、予想していたよりも史料の複写代で費用がかからなかったので、予算額と実際の経費で差額が生じた。 次年度においては、前回のアメリカ調査で予想よりも史料が多く保管されていたために閲覧時間が足りなかった大学での再調査を実施したい。特にスタンフォード大学での調査を再度行い、また同じサンフランシスコ地域にあるカリフォルニア大学バークレー校にも関連史料が残っている可能性があるので、そちらも是非訪問して調査したい。以上の調査とこれまでの調査を総合的に分析し、論文(報告書)という形で結果を公表していきたい。次年度においては、残っている研究費をアメリカでの調査及び報告書作成費の一部として使用したい。
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