最終年度は、これまでの海外調査で更に史料の内容を確認しておく必要を感じていたアメリカ西海岸での調査を一度実施した。今回の調査ではカリフォルニア大学バークレー校、スタンフォード大学、サンノゼ日系人博物館などを訪問し、本研究対象にあたる20世紀初頭の日本人学生の動向に関する資料閲覧と複写を実施した。また、スタンフォード大学では前回の訪問(2012年3月)に史料の確認で時間の足りなかった市橋倭関係文書を十分に時間をかけて行えた。サンフランシスコでは日系人教会(パイン合同メソジスト教会)を訪問し、市橋ら初期日本人学生たちが集った頃の史料について実際に閲覧させていただいた。国内においては、東京大学アメリカ太平洋地域研究センター図書室、東京大学文書館や国会図書館で在米日本人に関する文献調査を実施した。 これらの調査を踏まえて、論文「市橋倭研究の意義―その生涯における異文化体験とアイデンティティ・クライシス―」『北陸学院大学・北陸学院大学短期大学部研究紀要』第7号、2015年)を執筆し公表した。また、現在20世紀初頭の在米日本人学生会の動向に関する論文をほぼ完成させており、近いうちに日本教育学会へ投稿する予定である。 2013年に実施したドイツ史料調査については、今年度は東京の日独協会や国会図書館で関連文献の閲覧を行い、2015年3月に石川日独協会において「日独学術交流史」という題のもと講演を行った。
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