研究課題/領域番号 |
23531041
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
樋口 直宏 筑波大学, 人間系, 准教授 (90287920)
|
研究分担者 |
石井 久雄 明治学院大学, 文学部, 教授 (30330947)
遠藤 宏美 宮崎大学, 教育文化学部, 助教 (30613848)
|
キーワード | 小中一貫教育 / 学校 / 義務教育 / 授業 / カリキュラム開発 |
研究概要 |
本研究では、施設一体型小中一貫校における児童生徒の成長過程について、それを支援する学校側の取り組みとともに明らかにすることを目的とする。そのために、本年度は研究代表者および研究分担者間で9回の会議を開催しながら、次の2点を中心に研究を進めた。 (1)小中一貫教育の全国的動向 小中一貫教育は、施設一体型および連携・分離型ともに、実施する自治体が年々増加しており、全国各地に広がっている。また、中央教育審議会初等中等教育分科会の作業部会によって、平成24年7月に「小中連携、一貫教育に関する主な意見等の整理」が公表され、国においてもそのあり方が検討されるようになった。本研究では、昨年度に引き続いて小中一貫教育全国サミット(京都市)をはじめ、武蔵村山市、港区、練馬区、横浜市、土浦市等の研究会に参加し、現地調査および資料収集を行いながら全国的動向を分析した。特に、品川区、つくば市、宮崎県美郷町については定期的に参与観察を行い、その実践的特徴を明らかにした。 (2) 児童生徒による小中一貫教育の受け止め方や将来に対する意識 5年前に実施した、小中一貫教育の効果検証に関する質問紙調査の追跡調査として、10校の1~9年生約4500人に対して、学校生活上の変化を中心とした質問紙調査票を作成した。調査票は主として、教科担任制、異学年交流活動、進級・進路、社会力、教育効果に関する内容からなる。調査は、平成25年2月から3月にかけて実施・回収され、次年度研究において集計・分析を行う予定である。また、学力や態度面における特徴を自己評価するための「自己成長シート」(仮称)の開発についても、予備的検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各地の小中一貫教育の動向について、積極的に情報収集を行いその特徴を分析している。それとともに、拠点となる学校での観察も継続して行っている。調査対象とした地域や学校は、当初計画より大きく増加しており、その分析内容も充実している一方で、広範囲にわたったために概略的・表面的な観察および分析に終わっている面もある。 また、質問紙調査を実施したことで、児童・生徒が小中一貫教育をどのように受け止めているかについて、明らかにすることが可能となった。児童・生徒における9年間の成長を自ら記録することで、評価に供することができるためのツールを開発し、実施・分析へと結びつけたいが、その実現可能性については今後検討したい。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでと同様に、小中一貫教育の全国的動向の調査および施設一体型小中一貫校における実践の整理と分析を、次年度以降も継続する。また、本年度実施した小中一貫教育の効果検証に関する質問紙調査について、集計および分析する。分析にあたっては、施設一体型と分離・連携型一貫校との違いや前回調査との比較も行う。これらの結果をふまえて、児童生徒に対する「自己成長シート」(仮称)の開発に向けて、準備および予備調査を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度交付された助成金については、単年度の使用額はほぼ予定通りであったが、前年度未使用額分にあたる金額が引き続き次年度に繰り越された。次年度については、調査票の分析作業に対する支出が、繰り越し額を含めて大きな比率を占めている。具体的には、検票作業に対するアルバイト人件費および入力・集計に関する経費である。さらに、小中一貫教育関係図書や調査票分析のための文具等の消耗品、各学校や教育委員会への調査および成果発表のために旅費等の使用も予定している。
|