研究課題/領域番号 |
23531044
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
貞廣 斎子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (80361400)
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キーワード | 学校再配置 / 政策参照 / 政策立案支援 / 準拠自治体 / 教育条件整備 |
研究概要 |
1)全国の学区の地域特性を把握し、その差異を分析に加えることを目的に、モザイク・ジャパンのデータを利用して、国土交通省が公開している全国学区データと地域特性データのマッチング作業を行った。23年度に試験的に千葉県内のデータのマッチングを行ったことを発展させて、24年度は政令指定都市及び県庁所在地51都市について、ほぼマッチングを完了した。 (2)上記の学区地域特性と政策採択との関係性を分析し、地域特性と政策参照の関係構造の分析を行べく、当該地域の教育政策担当者などへのインタビューを通じて、改めて質的データからの補完を試みた。 (3)学校適正配置計画立案支援システム(Schoopss)を通じて、自治体の政策(案)立案者(教育委員会学校適正配置担当者)が政策を探索する過程を実験的・実践的に設定し、そのログを記録してデータ化するログ収集の試行を行った。 (4)これまでの研究において、公立学校の配置問題が、私立学校等の地域の総教育資産の有無と関連しているとの知見を得たことから、学校外補習学習と私立学校等の観点からみた地域差分析も補完的に行った。 (5)研究成果の一部を、インターナショナル・ジャーナルの審査付き論文としてまとめ、研究成果の発信も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は、地域特性データと学区データのマッチングに関わって、新規のデータを発掘し、分析枠組みをより洗練できる可能性が発覚したため、そのパイロット分析に留まったが、本年度はその遅れを解消するべく、対象地区を拡大できた。 更に、質的データからも、政策参照の構造を把握する作業も展開し、構造の重層的な把握に努めた。 また、研究成果の一部がインターナショナル・ジャーナルの審査付き論文としてまとまったことからも、一定の知見を提示することができたものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)複数自治体にまたがった政策立案過程の規定要因分析を行う。それにより、人口規模や財政力といった自治体の特性やその政策目的によって、(1)どのような要因をより重視した学校適正配置案を選択する傾向にあるのか、(2)政策立案段階でどのような要因が問題の解決を困難にする傾向があるのか、更には(3)問題の解決方法として、最終的にどのような配置案が選択される傾向にあるのかを明らかにする。 (2)更に、準拠自治体の政策参照を可能とする学校適正配置計画データベースの構築と公開を行う。具体的には、政策担当者が、当該自治体の人口規模、財政力、既存学校数、目標学校数、総コストなどを入力すると、類似する自治体の学校適正配置案における諸条件の重視度や特別要件の入力の有無(小中一貫校や特定校の積極的な存続など)が示され、最終的に選択された配置案については、学校規模(最大・最小・平均)や通学距離平均(同)、コスト(総額・個別学校)などの数値データによる学校配置案の評価と地図上での学校配置が出力されるようになる。更に同データベースをWEB上で公開し、同時に、学校適正配置案策定過程を相互に参照することができるプラット・フォームを作成する。 (3)加えて、学術コミュニティに対しては、研究発表を通じて、社会に対しては、データベースの公開と併せて、ワークショップの実施も行い、積極的に研究成果の公表・発信・周知をはかる。を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
○上記(1)について:国勢調査データ、JPS 学校ポイントデータ、地域特性データ(モザイク・ジャパン)、学校基本調査データ、選挙情報データを追加的に購入・分析し、地域特性・教育政策・政策参照の関係性、特に学校再配置政策を中心に分析を進める。 ○上記(2)について:データベースの公開のため、ワークステーション新規購入費、ホームページ作成費、更に一部についてはシステム実装に関わる専門的知識の提供、及び委託費が必要となる。 ○上記(3)について:研究発表のため旅費、ワークショップ実施費用(含;旅費)が必要となる。 なお、2012年度に購入する予定であったデータ(JPS 学校ポイントデータ、地域特性データ(モザイク・ジャパン)、学校基本調査データ)の一部について、過年度分データの割引があることが判明したため、購入を1年度遅らせ、新年度である2013年度以降に購入することにした。そのため、2013年度に使用予定の予算が当初計画よりも多くなっている。
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