研究課題/領域番号 |
23531045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大桃 敏行 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10201386)
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研究分担者 |
吉良 直 日本教育大学院大学, 学校教育研究科, 教授 (80327155)
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キーワード | アメリカ合衆国 / 連邦教育政策 / ガバナンス / 初等中等教育法 |
研究概要 |
1.研究会の開催:研究代表者と研究分担者がそれぞれ担当領域について検討を進めるとともに、初年度に続き本年度も代表者と分担者で研究会を開催し、公文書資料等の分析結果の検討、米国調査の事前の検討と調査結果の分析、学会発表に向けての準備などを行った。 2.米国調査:マサチューセッツ州にあるハーバード大学やボストン大学、シンクタンクのRennie Center for Education Research and Policyなどを訪問し、連邦教育法の制定・連邦教育政策の実施に関わった人たちや教育政策の研究者などにインタビューを行った。 3.研究成果の発表:以上の研究活動により、(1)連邦法である初等中等教育法(Elementary and Secondary Education Act, ESEA)の改定を通じての教育のガバナンス改革では平等保障の理念が目的として受け継がれていること、(2)ESEAの改定を通じての教育のガバナンス改革には平等保障に向けた制度構築の意味合いがあること、(3)教育のガバナンス改革では成果に対するアカウンタビリティの要請に日米で相違があること、(4)二大政党の対立のなかでスタンダードにもとづく改革の推進において中道勢力が重要な役割を担ったことなどを明らかにし、その一部を日本教育学会と比較国際教育学会(Comparative and International Education Society)の大会で発表した。また、研究代表者と研究分担者が共編者となった著書を公刊し、同書で、代表者が1965年のESEAの制定から1988年の同法の改定までのインプット重視の政策について、分担者が1989年の教育サミットから2002年のどの子も置き去りにしない(No Child Left Behind, NCLB)法の制定までのアウトカム重視への政策転換についてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.研究代表者と研究分担者で研究会を開催し、研究成果の共有や米国調査、学会発表などの準備を進めることができた。 2.米国の訪問調査を実施し、連邦教育法の制定等に関わった人たちや教育政策の研究者にインタビュー調査を行い、連邦教育政策の展開について新たな知見を得るとともに理解を深めることができた。 3.研究成果の一部を日本教育学会大会で発表した。また、当初の計画では最終年度の予定であった海外での学会発表を、学会大会の開催日程との関係で本年度に前倒しして行うことができた。 4.研究代表者と研究分担者が共編者となり図書を刊行することができた。同書において、代表者と分担者が共著で「序章 アメリカの教育改革と本書の目的」を、代表者が「第1章 インプット重視の平等保障策―1965年初等中等教育法制定から1988年改定まで」を、分担者が「第2章 アウトカム重視への政策転換―1989年教育サミットから2002年NCLB法制定まで」を執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
1.収集した文献・資料の分析を行うとともに、分析を深めるために必要な文献の購入、インターネットなどで補足資料の収集を行う。引き続き研究代表者と分担者の研究会を開き、収集した文献・資料とインタビュー調査の分析に基づき、全体のまとめを行う。 2.前述のように、当初の計画では最終年度である平成25年度に予定していた海外での学会発表を、前倒しして本年度に実施した。したがって、海外旅費をさらなるインタビューと資料収集のための調査にあてる。調査地としてはワシントンDCかニューヨークなどを予定している。 3.得られた研究成果を関連学会で発表する。日本教育行政学会などを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度経費は、以上の必要文献の購入費、米国調査費、国内学会発表旅費等に用いる。
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