研究課題/領域番号 |
23531046
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
前原 健二 東京学芸大学, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 准教授 (40222286)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教員研修 / 組織体としての学校 / ドイツ / ニーダーザクセン州 / 教員研修センター |
研究概要 |
第一年度である本年度の主たる課題は二つ、「組織体としての学校」を単位とした研修の必要性について探索すること、及び学校に関する「組織開発」の理論が蓄積されてきたドイツの事情について具体的情報の収集と整理に着手することであった。第一の課題については、各都道府県、政令市等の教員研修部門の全国組織である全国教育研究所連盟の研究集会への参加によって一般的な傾向の把握に努めた。人事異動制度を前提とする限りにおいて、学校の教育力の向上の必要性は自明であるものの、実際には学校を固有の単位とした研修企画が成立しにくい傾向を確認しつつある。第二の課題については、文献資料の収集は当初の予定からすると十分ではないが、一定程度作業を進め、整理に着手した。2011年度半ばから、当初計画の通りドイツ・ニーダーザクセン州・ブラウンシュヴァイク工科大学教育学部門のケムニッツ教授(ブラウンシュヴァイク地域の現職教員研修プログラムの責任者のひとり)と連絡をとり、日程調整を進め、2012年3月に第一次の訪問調査を実施し、2012年1月から実施に移された新しい現職教員研修プログラムについて具体的な情報収集を行った。訪問先はブラウンシュヴァイク工科大学教員研修センター、ニーダーザクセン州立教育研究所、ゲオルク・エッカート国際教科書研究所である。新しい現職教員研修プログラムにおいては、従来州立教育研究所が提供していた現職教員研修が「分権化」され、州内の8大学に新設された教員研修センターによって提供されることとなった。これは州の教育行政にとって、大学にとって、そして研修を受講する教員にとって大きな変化である。制度の改定間もない時期であるため、成果や課題は明らかではない。ドイツでもっとも斬新な現職教員研修の改革として、今後も注視すべき事例であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた作業のうち、外国文献の探索と収集において若干不十分な点がある。訪問調査を中心とした情報の収集においては順調に進展している。以上の点から、おおむね順調に進展しているものと言える。
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今後の研究の推進方策 |
80千円強の研究費を次年度に支出することとした。ドイツ訪問調査を3月中旬に実施することとなったため、旅費の確定が遅れたことがこの研究費が生じた理由である。第2年度については、当初予定通り研究を進める。9月から10月中旬に、ドイツの現職教員研修の改革動向に関する第二次訪問調査及び中国への第一次訪問調査を企画する。12月に上海で予定されている国際学会における日本の現職教員研修プログラムについての研究発表をエントリーし、同時に諸外国の情報収集に努める。文献資料の探索と収集については、費用を必要とするものについて年度上半期に集中的に作業を進めるよう努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおむね当初予定の通りに執行する。つまり図書等400千円、国内旅費200千円、国外旅費(ドイツ・中国)450千円程度である。第一年度からの繰越となる80千円強については、国際学会への出張旅費として使用する。必要に応じて相当の変更を行い、研究費の有効かつ機動的な使用に努める。
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