研究課題/領域番号 |
23531053
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
林 透 北陸先端科学技術大学院大学, 大学院教育イニシアティブセンター, 特任助教 (20582951)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 教育政策 / 組織開発 / FD・SD |
研究概要 |
大学組織をテーマとした先行研究では、バートン・クラークのトライアングルモデルやロバート・バーンバウムの組織機能モデルに代表されるように、大学組織を取り巻く外部要因との関係性の分析や大学組織そのものを類型区分することが主流であり、大学構成員のキャリアパスや相互関係に基点を置いた分析が少なかった。そこで、本研究では、日本の大学における構造的文脈(コンテクスト)に基づいた検討・実践を重視し、次のような基礎的研究に取り組んだ。(1)国立大学法人の学長・理事職のキャリアパス分析・・・日本の大学の役員職のキャリア分析については、先行研究が少なく、本研究では、国立大学法人の学長・理事職のキャリアパス分析を行い、その特徴や課題を抽出した。(2)国立大学法人の部長級・課長級職員のキャリアパス分析・・・これまでの自身の研究実績を発展させ、法人化前後から今日に至るまでの国立大学 法人の部長級・課長級職員のキャリアパス分析を行い、その特徴と課題を抽出した。(3)日本における大学管理職・大学教員・大学職員の関係性に特化した事例研究・・・大学管理職・大学教員・大学職員が協働する組織では、三者のマインドを的確に把握するキーパーソンが存在し、機能しているケースが少なからず見られる。国立大学法人3校を選定し、具体的にインタビュー調査等を実施した。この事例研究を通して、大学管理職・大学教員・大学職員の関係性について、要因分析を行った。 また、大学コンソーシアム石川SDワークショップ2011(平成23年7月30日開催)や第15回大学行政管理学会研究集会(平成23年9月4日開催)において、大学の組織開発や組織改善に関するアンケート調査等による情報収集を行ったほか、平成24年6月上旬に開催される日本高等教育学会において成果発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、平成23年度の研究実施計画として掲げた主要3項目である「(1)国立大学法人の学長・理事職のキャリアパス分析、(2)国立大学法人の部長級・課長級職員のキャリアパス分析、(3)日本における大学管理職・大学教員・大学職員の関係性に特化した事例研究」について、計画どおりに研究を進めることができた。このほか、研究代表者自らが関与する大学コンソーシアム石川や大学行政管理学会の活動において、組織開発・組織改善等の必要性に関するアンケート調査等の情報収集を効果的に行うことができた。 特に、国立大学法人3校への現地調査において、本研究の目的である大学管理職・大学教員・大学職員の関係性を重視した組織開発(Organizational Development(OD))に関わる日常的取組やそこに携わるキーパーソンの資質などについてインタビュー調査を効果的に行うことができた。 以上のような理由により、本研究は、「概ね順調に進展している」と判断するものである。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度においては、日米の比較検証を通して、日本の大学における構造的文脈(コンテクスト)に応じた組織開発(Organizational Development(OD))に関する理論構築を目指す。具体的には次のような項目に取り組む。(1)アメリカの大学におけるアカデミック・リーダーシップの成立条件・・・対象範囲を選定し、体系的な調査研究を行う。(2)アメリカの大学におけるノンアカデミック・スタッフのキャリアパス分析・・・対象範囲を選定し、体系的な調査研究を行う。 このほか、所属大学、地域コンソーシアムにおけるニーズ調査について、前年度に引き続き、所属大学や大学コンソーシアム石川において、組織開発・組織改善の必要性に関する情報収集を行う。最終的に、当該情報収集の結果を組織開発(Organizational Development(OD))に関する理論構築に活用する。 また、所属学会や研究会における研究成果報告を行うとともに、関係者からの指導助言を受けながら、全体的な研究成果に関するとりまとめを進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究実施計画において、当初、翌年度の研究の主要テーマである「(1)アメリカの大学におけるアカデミック・リーダーシップの成立条件、(2)アメリカの大学におけるノンアカデミック・スタッフのキャリアパス分析」に係る事前調査旅費を計上していたところであるが、必要情報をウェブ調査で行うことを優先したために、次年度への研究費の繰越が生じたものである。 平成24年度の研究費の使用計画については、日本の大学管理職のキャリアパス分析等の基礎的研究をフォローしつつ、比較対象としてアメリカの大学システムを取り上げ、「(1)アメリカの大学におけるアカデミック・リーダーシップの成立条件、(2)アメリカの大学におけるノンアカデミック・スタッフのキャリアパス分析」に係る具体的な調査研究を行うための調査研究旅費を前年度からの繰越分と併せて使用する計画である。 このほか、組織開発・組織改善の必要性に関する情報収集、学会・研究会での研究成果報告等のための所要経費を使用する計画である。
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