研究課題/領域番号 |
23531060
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林 孝 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30144786)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 学校評価システム / 特色ある開かれた学校 / 職員室文化 |
研究概要 |
学校評価システムについて、各市町のHP等から情報収集を中心にして、大綱として広島県の示した学校評価システム構築の方向性と、各市町のもつ条件性との関連から各市町の学校評価システムに関する行政施策の特色について明らかにすることに努めた。研究開始の平成23年度に附属小学校・中学校の校長を併任することとなり研究へのエフォートを縮小せざるを得ず、研究計画で予定していた実地踏査及び他府県の学校評価システムの調査を踏まえた「学校評価システム施策調査」「教職員力量向上施策調査」の実施が困難となり、情報収集に当たっては、専らHP等からの情報収集にとどまった。しかし、教職員間の協働推進に係る施策や教職員の力量向上施策に関する情報をめぐって、「特色ある開かれた学校づくり」の視点とそれら行政の進める施策を家庭・学校・地域社会の教育連携の視点から検討することができた。 また、文献研究では、学校の存在意義を整理し、「特色ある開かれた学校づくり」の考察に必要となる学校と地域との連携を検討する基本的視座を明らかにした。「職員室文化」の発掘と継承の対象とする「特色ある開かれた学校づくり」に関わって、「子どもの豊かな学びを創造し、地域の絆をつなぐ~地域とともにある学校づくりの推進方策~」の提案に関わって、「特色ある開かれた学校づくり」のための学校と地域との連携における校長のマネジメントを検討し、学校と地域との連携を推進するプロセスについて明らかにすることができた(「学校と地域との連携に関する校長のマネジメント」『日本教育経営学会紀要』第54号、2012年(印刷中))。 「特色ある開かれた学校づくり」に関する「職員室文化」の聞き取り調査にあたって次年度以降に連携・協働する公立小・中学校について協力要請も順調に進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度においては、広島大学附属東雲小学校・東雲中学校2校の校長を併任することとなり、大学の教育活動に係るエフォートを縮小することができないまま、校長職を遂行することとなった。そのため、研究初年度での実施計画遂行のためのエフォートの遂行に困難を抱えたことが大きな原因である。 研究計画で予定していた実地踏査及び他府県の学校評価システムの調査を踏まえた「学校評価システム施策調査」「教職員力量向上施策調査」は実施できてはいないが、教職員間の協働推進に係る施策や教職員の力量向上施策に関する情報をめぐって、「特色ある開かれた学校づくり」の視点とそれら行政の進める施策を家庭・学校・地域社会の教育連携の視点から検討することができた。また、附属校での勤務のなかで、公立小・中学校にはない「特色、例えば、教育実習や研究開発・実践研究といったミッション」に関する「職員室文化」や教職員同士の力量向上に係る「職員室文化」などの存在を明らかにすることができた。 また、「地域とともにある学校づくりの推進方策」の提案に関わり、学校と地域との連携における校長のマネジメントを検討して学校と地域との連携を推進するプロセスについて明らかにすることができたことは、「特色ある開かれた学校づくり」と「職員室文化」についての検討視点を得ることとなった。 以上のように、研究計画を変更しながらの研究推進ではあるが、平成23年度における研究目的の達成に係る進捗状況は、決して順調とは言えないものの、「(3)やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
当初から、平成24年度に予定していた「特色ある開かれた学校づくり」の特徴と「職員室文化の状況及びそのための取組」についての聞き取り調査を、東広島市・尾道市・庄原市の小中学校において実施する(9月ー10月予定)。訪問調査の実施にあたっては、メール等を活用して資料収集に努めるなど、学校との密な連携を確保する。なお、聞き取り調査では、上述の公立小中学校のほか、校長を併任している広島大学附属東雲小・中学校の教職員の経験知としての「職員室文化」についても参考とするため実施する。 聞き取り調査にあたって調査時期までにはその準備を進めるとともに、その準備の一環として、教職員間の協働推進に係る施策や教職員の力量向上施策に関する情報の精緻な検討を推進し、学校評価システムに関する検討結果を踏まえて、「特色ある開かれた学校づくり」と「職員室文化」発掘にかかる質問紙を開発し、広島県内の小中学校の教職員を対象に無記名郵送質問紙調査を実施する。なお、この質問紙調査は当初計画では予定していなかったが、聞き取り調査だけでは引き出せない多様な経験知や暗黙知・形式知を収集するため、また、教職員の各年代間での継承を可能とするために、広く各小中学校の教職員を対象に実施するものである。 質問紙調査の結果を分析考察するとともに、聞き取り調査の協力校と、連携・協働して12月から翌2月にかけて、協力校と連携・協働し、平成24年度の学校評価のあり方と「特色ある開かれた学校づくり」及び「職員室文化の状況及びそのための取組」に向けた改善方策を明らかにする。 平成25年度に向けて研究成果の整理を進めるとともに、研究成果公表の準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
「物品費」については、教師教育・学級経営を含む学校経営学関連図書に係る設備備品費や消耗品費に使用予定である。 「旅費」については、平成24年度においては校長職に係る大学教育活動の負担軽減の措置が可能となるに伴い、平成23年度できなかった実地踏査及び他府県の学校評価システムの調査を予定するとともに、聞き取り調査のために使用する。なお、研究成果発表のための旅費については、平成24年度にあっては研究成果の整理の進捗状況により適宜計画し使用していきたい。 「謝金等」については、聞き取り調査の補助と資料整理補助、質問紙調査の整理補助に使用する。 「その他」は、質問紙調査の印刷、調査票郵送料を予定している。
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