研究課題/領域番号 |
23531065
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
佐古 秀一 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30153969)
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研究分担者 |
久我 直人 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20452659)
前田 洋一 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20580765)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 学校経営 / 組織マネジメント / 学校管理職研修 / 学校組織開発 / 協働 |
研究概要 |
・学校組織開発理論に基づく理論的背景の明確な研修プログラムの開発:平成23年度は,これまで蓄積してきた学校組織開発理論に基づく学校組織の変革・改善に関する実践事例の知見,ならびに管理職の力量形成等に関する先行研究を分析・整理した上で,協働による組織化(内発的改善力構築型組織マネジメント)を推進する観点から,学校管理職にとって習得すべきと思われる事項を計7領域にわたって設定した。それらの各領域について,学校組織開発の具体事例等と対応させた形で,基本的な考え方を学習するために第1次テキスト(平成23年度版試行テキスト)を作成した。・試作プログラムの試行と評価: これらの7領域にうち5領域の試行テキストを,教頭を対象に試行し(48名),内容の理解度,内容の有効度等に関する評価を行った。概ね肯定的な評価を得ることができたが,学校課題形成の実際においては,理論的な課題の構造に沿って現実の学校課題を設定することの困難さ等も見出された。これには学校課題の構成要素とそれらの相互関係を理解すること自体が困難であること(理解困難性)とともに,理論的な理解に基づいて自校の学校課題を作成することが困難であること(実践困難性)があることが示唆された。このため,学校課題の形成と共有に関しては,事例に基づく解説だけでなく,学校課題の構造的形成をサポートするワークシート(学校課題構造化シート)を作成し,その試行と改善を試みた。・管理職研修プログラムに関する資料の収集:学校管理職研修に関して積極的に取り組んでいる県市を対象に学校管理職研修の実態と課題に関する資料収集を行うとともに意見の交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・学校組織マネジメントの教育プログラムの開発と試行:学校組織開発理論に立脚した学校組織マネジメントの教育プログラムの開発に関しては,主要な領域(学校組織特性の理解,学校の教育力の経営的・組織的要因,学校組織における自律性と協働性,学校課題づくり,実践の協働的改善,学校評価に理解と活用,リーダーシップ理論の理解と行動改善)については,教育プログラム用の試行テキスト(H23年度版)の作成を行うことができた。・試行と評価:さらに,この7領域のうち,4領域の試行テキストについては,教頭を対象として試行を行い,理解度,有効度に関する評価を受けた。概ね肯定的な評価を得ているが,学校課題づくりについては,学校課題の構造的形成と教職員との共有手法に関して,困難さが大きいことが見出され,これを補うために,ワークシート(学校課題構造化シート)の開発と試行を試みた。・教育プログラムの効果判定:効果判定については,平成23年度は研究初年度にあたるため,一般的な知識の理解度,及び実践的有効度に関する評定尺度,ならびに自由記述法を併用した。この点では,ほぼ計画通りの進展であるが,研究の2年度以降については,教育内容の実践化に関する継続的・追跡的な手法を採用することなども考慮したい。 このように,一連の実践的研究として展開され知見が蓄積されつつある学校組織開発理論にもとづいて,理論と実践的的根拠が明確な学校組織マネジメントのためのテキスト,ツール等の試行的開発は,順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
・平成23年度は領域別の試行テキストを作成したが,試行の結果をふまえて領域別の各論構成の教育プログラムの構成をとるのではなく,(1)学校組織開発理論にもとづく学校組織マネジメントの全体像を把握するテキスト(全体編),(2)主要な領域に関して事例と対応させて内発的改善力構築型の組織マネジメントに関する知識だけでなく実践力の育成をねらいとした各論テキスト(各論編),(3)実践のための標準的手順やスキルを具体的に提示するテキスト(手順ツール編),という構成が望ましいと考えられる。平成24年度については,平成23年度の実績と課題をふまえて,この学校組織開発理論にもとづく学校組織マネジメントの一連の過程を把握できるテキストを開発し,実践に資する研修プログラムの開発に結びつけることとしたい。・あわせて研修効果の測定方法についても,学校組織マネジメントに焦点化した検証方法論を開発をすすめたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては,内発的改善力構築型(学校組織開発理論準拠)の学校組織マネジメントに関する体系的なカリキュラム(内容とその配列)及び,教育用テキスト(試行)の開発に取り組む。とくに知識理解のテキストだけでなく,手順理解のテキストや実践をサポートするツールの開発に力点を置く。そのための資料収集のための旅費,実践事例の資料収集や記録のための物品等の購入,資料整理のための謝金等に,適切に経費を執行する。
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