2013年度(研究期間の最終年度)の研究成果 2012年に合衆国最高裁は、NFIB v. Sebelius事件判決として連邦政府の財政権限に関して重要な判決を下した。本研究の対象であるNCLB法は、まさに、連邦政府による連邦財政補助として実施されているので、連邦政府による教育政策の関与権限が問われる判決である。NFIB判決の影響についての研究論文が公表されているので、それらの論議を検討した。 研究期間全体の成果 オバマ政権が2007年に再改定を求められているNCLB法についていかなる見直し、改定を提案するのか、が本研究の課題であるが、連邦議会では2度の改定提案が論議されたが、成立をみていない。多くの州がNCLB法の適用免除を申請し、許可されている。その実施状況についての功罪の検証を調査することができた。連邦政府による教育改革の主導の困難性が明らかになったといえる。具体的には、NCLB法は、生徒の学力テスト成績による学校評価の強制実施、成果責任主義としての年次学力向上(Appropriate yearly progress)できなかった学校での生徒・親の学校選択、学校の校長をはじめ教職員の交替、失敗学校をチャータースクールへの移行など、というサンクションについて規定している。しかし、その後、学力向上を達成できている学校がかなりのバラつきがあるが、半数以上ができない、学力テストの基準がどだい、到達水準を越えているので、下げたり、学力テストの事前学習などの不正が起きたり、校長、教員への委縮効果などが指摘されて、州教育関係者からの批判も多い。これらのデータを収集、整理できた。
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