本研究「格差是正に向けた生涯学習施策の論理と戦略に関する調査研究」は、「知の循環型社会」の構築を目指す一連の生涯学習施策にあって、知や文化を巡る地域間格差および個人間格差がいかなる論理と戦略によって是正されようとしているのかを究明するもの である。最終年度となる平成25年度は、以下のような研究を行った。 計画「I.生涯学習施策や成人学習に関する理論研究」については、昨年度までと同様に書籍や関連資料によって、昨今の生涯学習施策の動向について情報を収集し、理解を深めた。また、成人学習に関しても、教育主体を持たない学習促進の手法として、引き続き近年注目されているワークショップに関してその効用などについて研究をすすめた。 計画「II.地方自治体行政に関する理論研究」については、知や文化を巡る地域間格差および個人間格差を是正するために、地方自治体がいかなる行政手法を開発し施策を行っているのかについて、書籍や関連資料などによって情報を収集した。 計画「III.先進自治体の調査研究」については上記ですすめた研究を実態レベルで検証する目的から、自治体の教育関連施設を自治体出資法人とNPOの共同事業体によって運営する川崎市事例について実態調査を行った。 こうした研究を進めるなかで得られた成果の一部については、日本教育制度学会編『現代教育制度改革への提言』(下)東信堂における執筆などで公表した。また、3カ年を通しての研究成果に関しては平成26年度に開催される日本教育学会でのラウンドテーブルや日本教育制度学会の課題別セッションなどで報告する予定である。
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