平成24年度には、「九州保育新聞」の内容の分析を中心に、福岡県保育連盟の機関紙「育てつつ」の記事内容の検討も行い、『愛知県立大学教育福祉学部論集』にまとめた。 平成25年度には、収集した資料の分析を進めるとともに、福岡県では、特に昭和20年代の半ばまでは、保育所と幼稚園が一緒に組織を作り活動していたこともあるので、幼稚園での聞き取り調査及び資料収集を続けて行った。また、国立国会図書館のプランゲ文庫に収蔵されている新聞から、保育、幼児教育、子どもの福祉等に関する記事を探し出した。 8月には日本教育学会第72回大会で、「福岡県における戦後保育構築に関する実証的研究(2)」として、共同募金からの補助や福岡県の保育所の状況を中心に分析し、発表した。これをもとにしながら、『愛知県立大学教育福祉学部論集』第62号に論文を執筆した。博多港が引揚港であり、戦後の混乱期にはその影響が大きかったと思われるので、その概況について述べた後、福岡県では共同募金からの保育所への補助が大きかったことを明らかにし、保育所の施設・設備、保育者と子どもの人数、保育時間、行事、保育内容・方法等について、聞き取り調査と資料収集からまとめた。保育所普及の先進県の一つである福岡県における昭和20年代の保育所の状況を明らかにすることを通して、子どを守る上で保育所が果たした役割を検証した。 保育所、幼稚園の昭和20年代の状況を個別にまとめたものも加えて、「福岡県における占領期の保育―保育先進県における戦後保育構築に関する実証的研究―」の報告書を作成した。この報告書を、ご協力くださった保育所、幼稚園、個人、及び福岡県立図書館、福岡市総合図書館、北九州市立中央図書館にも送付した。
|